2018年03月08日
【1】今週のお知らせ
法人税の非公開裁決を収録しました。
1.平29-04-19 裁決 棄却 F0-2-713
(重加算税/特別損失に計上された架空の部品等の廃棄損及びゴルフ会員権
の解約損)
2.平29-04-04 裁決 棄却 F0-2-714
(更正の請求/判決により確定した業務委託費に係る損害賠償債務)
3.平29-03-22 裁決 棄却 F0-2-706
(建物の取得価額の範囲/工場建設時に行われた工場敷地の切土盛土、地盤
改良工事)
4.平29-03-17 裁決 一部取消し F0-2-710
(源泉所得税/架空経費の計上と元理事に対する従業員給与)
5.平29-03-03 裁決 却下 F0-2-708
(審理手続を経ないでする却下裁決/請求の利益)
6.平29-03-02 裁決 棄却 F0-2-707
(青色申告の承認申請書提出の有無/過年度の欠損金額を損金の額に算入で
きるか)
7.平29-02-27 裁決 棄却 F0-2-709
(重加算税/消費税を免れるために設立された法人を介在して行われた清掃
作業員派遣)
8.平29-02-21 裁決 棄却 F0-2-712
(源泉所得税/みなし配当/株主への子会社株式の譲渡に係る錯誤無効)
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
譲渡所得/「資産の譲渡」該当性/スワップ取引による金地金の移転
(平29-06-29 名古屋地裁 棄却 Z888-2154)
本件は、原告が、貴金属製造販売業者A社との間で、金の購入保管に係る契約
を締結して取引をしたところ、四日市税務署長から、本件契約に基づく取引が「
資産の譲渡」(所得税法33条1項)に該当するとして、更正処分等を受けたた
め、その取消しを求めた事案です。名古屋地裁の判断は、次のとおりです。
本件契約は、A社から同社にて製錬した金地金を購入する「売買取引」を行う
か、同社との間で、当該顧客が所有する金地金と同社にて製錬した金地金とを交
換する「スワップ取引」を行うことにより、同社にて製錬した金地金を取得する
ことと、取得した金地金の保管を同社に委託する「保管取引」を行うことを組み
合わせて構成された契約であると認められる。
スワップ取引により取得した金地金を保管取引により預ける場合の本件契約の
法的性質は、顧客とA社とが互いの金地金の所有権を相手方に移転する民法上の
交換と、顧客がこれにより取得した金地金の保管を同社に委託する民法上の寄託
(混蔵寄託)とを組み合わせた混合契約であると認められる。
そして、本件スワップ取引により、原告が所有していた本件金地金の所有権が
A社に移転し、その対価(反対給付)として原告に所有権が移転した同社にて製
錬した金地金をもって、原告による本件金地金の保有期間中に抽象的に発生して
いた増加益が具体化されたものと解するのが相当であるから、本件スワップ取引
により、本件金地金について「資産の譲渡」があったものというべきである。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2154