2018年02月22日
【1】今週のお知らせ
相続税の非公開裁決を収録しました。
1.平29-05-10 裁決 却下 F0-3-524
(請求の利益/処分の不存在)
2.平28-12-13 裁決 棄却 F0-3-520
(取引相場のない株式/「中心的な同族株主」の存否の判定)
3.平28-12-12 裁決 棄却 F0-3-521
(更正及び決定の特則/更正処分の適法性/遺言無効判決の効力)
4.平28-12-07 裁決 棄却 F0-3-519
(相続財産の範囲/相続開始前に被相続人名義の預貯金口座から引き出され
た金員)
5.平28-11-17 裁決 棄却 F0-3-518
(家屋の評価/増改築等の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない
家屋)
6.平27-11-11 裁決 棄却 F0-3-523
(貸家及び貸家建付地の評価/「一時的空室」該当性)
7.平27-02-17 裁決 棄却 F0-3-522
(貸家及び貸家建付地の評価/「一時的空室」該当性・使用貸借に係る貸家
の敷地)
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
貸宅地の評価~借地権価額控除方式の一般的合理性~
(平29-03-03 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2144)
この事案は、原告が、借地権が設定されている各土地(本件各底地)の評価額
を、不動産鑑定士による鑑定評価により算定した額として相続税の申告をしたと
ころ、中野税務署長が、本件各底地には、評価通達によらない特別な事情がある
とは認めらないとして、借地権価額控除方式(評基通25)により評価して更正
処分等をしたことから、その取消しを求めるものです。
裁判所では、次のとおり判断し、借地権価額控除方式の評価を相当としました。
評価通達25の定める借地権価額控除方式は、底地の客観的交換価値に接近す
る方法として相応の合理性を有すること、他方で、低廉な地代を基準とした収益
価格による算定を標準として底地の時価とみる原告主張の方法は相当ではないと
いうべきことに加え、路線価の付設に当たっては、評価の安全性を考慮して公示
価格と同水準の価格のおおむね80%程度を目途として評定するという控え目な
運用が行われており、借地権価額控除方式により算出された底地の価額が直ちに
時価を超えることとなるわけではないと考えられること等をも考慮すると、借地
権価額控除方式は、底地の客観的交換価値を算定する上での一般的な合理性を有
していると認められる。
本件各底地について、借地権価額控除方式によっては適正な時価を適切に算定
することのできない特別の事情があるとは認められない。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2144