TAINSメールニュース No.633 2023.08.24 発行(社)日税連税法データベース

2023年08月24日

【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・R05-07-28 東京地裁 棄却 Z888-2509
馬券払戻金の所得区分/一時所得又は事業所得(雑所得)該当性
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61365

【消費税】
・R02-10-07 裁決 棄却 F0-5-356
税務職員の指導による更正の請求/免税事業者/特定期間の課税売上高
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61280
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
印紙税/消費生活協同組合が運営する総合病院等が作成した領収書等
(令05-03-08 東京地裁 一部認容 Z999-7226)

消費生活協同組合である原告は、新潟税務署長から、組合が運営する総合病院
及び介護老人保健施設において作成した領収書及び契約書の各文書が課税物件に
該当するとして、印紙税に係る過怠税の賦課決定処分を受けたことから、処分の
取消しを求めて提訴しました。東京地裁は、家族組合員の利用分は課税文書に該
当しないとして、原告の請求を一部認容し、次のように判示しました。

印紙税法は、非課税規定において、「営業に関しない受取書」について非課税
とする旨を定める一方で、括弧書きにおいて、「会社以外の法人で、法令の規定
又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができること
となっているものが、その出資者以外の者に対して行う事業」については、「営
業」に含まれるものと規定している。原告は、組合であり、剰余金の割戻しも可
能であるから、非課税規定の括弧書きの法人に該当する。したがって、原告が専
ら医療事業及び福祉事業を行うものであるとしても、「出資者以外の者に対して
行う事業」は、印紙税法上の「営業」に該当する。
家族組合員は、各施設の利用に関しては、生協法12条2項により「組合員」
そのものとして法的に取り扱われるから、印紙税法上の「出資者」に該当する。
したがって、領収書のうち家族組合員が利用した分については、これを課税文書
として課税した賦課決定処分は、違法である。一方、原告が組合員以外の者に対
して行う事業において作成したものである各覚書及び洗濯等契約書は、7号文書
(継続的取引の基本契約書)に該当し、清掃に係る業務請負契約書等は、2号文
書(請負に関する契約書)に該当する。いずれも課税文書と認められる。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/60944

TAINSメールニュース No.632 2023.08.17 発行(社)日税連税法データベース

2023年08月17日

【1】今週のお知らせ
(1)名古屋税理士会から提供いただいた「税務研究」を収録しました。
「詳細検索」の「TAINSキーワード」に次のように入力します。
名古屋税理士会税務研究0010 ‥‥1件【その他文書】
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61364

(2)収録した判決の一部を紹介します。
【所得税】
・R04-02-14 東京地裁 棄却、控訴 Z888-2507
取引相場のない株式/発行会社を介する三者間の低額売買
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61301

【法人税】
・R05-06-30 福岡高裁 棄却 Z888-2492
青色申告承認取消し/税理士法人による2事業年度連続の期限後申告
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61279
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
不動産等の時価~評価通達によるべきではない「特別の事情」該当性~
(令05-02-09 非公開裁決 棄却 F0-3-871)

請求人は、相続により取得した不動産等を評価通達により評価して相続税の申
告をした後、不動産業者(買主1及び買主2)と個人(買主3)に売却し、実際
の売却価格が当該不動産等の時価であるとして更正の請求をしました。
本件は、原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたことから、
請求人が、当該通知処分の全部の取消しを求めた事案です。
審判所は、次のように認定し、評価通達によるべきではない特別の事情はなく、
通達評価額は、相続税法第22条の時価を上回る違法はないと判断しました。

本件各業者売却価格は、請求人が、専らその主観的事情により、不動産業者に
対して一括して売却するという取引方法を選択した結果、買主1及び買主2の転
売することを前提に決定されたものであるといえ、その売却時点における取引当
事者の事情に基づく価格というべきものである。したがって、本件各業者売却価
格が、各不動産の客観的な交換価値(時価)であると認めることは困難である。
買主3は、請求人の父が設けていた税理士事務所に勤務していた者であり、売
買の時点においては家屋をA社(被相続人が株主)から賃借して自身の税理士事
務所を設けており、「純然たる第三者」とは認め難く、本件各個人売却価格は、
取引当事者の主観的事情に基づき形成された金額というべきである。したがって、
各不動産等の客観的な交換価値(時価)であると認めることは困難である。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61277

TAINSメールニュース No.631 2023.08.10 発行(社)日税連税法データベース

2023年08月10日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。

代理人の顕名がない贈与契約書の有効性
~生命保険契約の保険料を誰が負担したのか~
講 師:税理士 与北奈須夫
(データベース部長:水庭 清隆)

(2)Japplic書式集検索のご紹介
令和5年7月に消費税インボイス制度の基礎の基礎、インボイス制度事前準備
チェックシートが追加されました。ぜひご活用下さい。
〔ご利用方法〕
TAINSにログイン → 検索トップ画面右上リンクボタン
「日本法令 法令書式ビジネス書式集」
ログインページURLはこちら https://www.tains.org/
(税法データベース事務局)

(3)税理士会から提供いただいた「相談事例」を収録しました。
「詳細検索」の「TAINSキーワード」に次のように入力します。
東京地方税理士会 ☆2023年08月収録分 ‥‥19件
千葉県税理士会 ☆2023年08月収録分  ‥‥23件
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
取引相場のない株式の低額譲渡~発行会社を介する三者間取引の売買~
(令04-09-28 東京高裁 棄却 Z888-2491)

控訴人会社(X社)は、控訴人母A、控訴人長男Aらから、非上場株式である
X社の株式合計7498株を2249万4000円(1株3000円)で自己株
式の取得をし(本件取引1)、同日、これを同額で控訴人長男B(X社の代表取
締役で控訴人長男Aの従兄)に譲渡しました(本件取引2)。
本件は、本件取引1は所得税法59条1項2号(みなし譲渡)に該当し、本件
取引2は、享受した経済的利益は「給与等」に該当するとして更正処分等を受け
た控訴人らがその取消しを求める事案です。裁判所は、原判決の判断を相当であ
るとし、控訴理由がないとしていずれも棄却しました。

控訴人らは、本件取引1は、自己株式の取得を目的とするもので「資産の譲渡」
に当たらないと主張するが、発行会社が自己株式を取得した場合であっても、そ
の相手方である譲渡人からみれば、当該株式の保有期間中におけるキャピタル・
ゲインを観念でき、当然、譲渡所得課税の対象となるものと考えられる。
本件取引2は、控訴人長男Bは、X社において、形式は準委任であるとしても、
実質的には非独立的ともいうべき役務(労務)を提供する立場にあったものと推
認され、控訴人長男Bは、このような立場にあることを前提に、その職務(役務)
に関連して、X社のため本件取引1によって拠出された費用を補填すべく、X社
から多額の購入資金を借り入れ、本件取引2に応じたものであって、本件経済的
利益は、給与所得の課税要件を満たすと認められる。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61260

TAINSメールニュース No.630 2023.08.03 発行(社)日税連税法データベース

2023年08月03日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINSの新機能のご紹介
2023年7月31日に次の新機能をリリースいたしました。
〇検索トップ画面の検索機能の改善
簡易検索を新設し、行政文書や相談事例の絞り込み検索ができるようになりま
した。細かい条件を指定して検索する方法は、名前を変えて詳細検索として新
設しました。
〇お役立ちコンテンツへのリンク新設
日本法令ビジネス書式集と30分研修動画について、検索トップページ右上に
リンクを設置しました。
〇検索結果一覧画面の並び順機能の改善
検索結果一覧画面の判決・裁決タブにおける並び順に裁決の年月日を追加し、
判決・裁決年月日の新しいもの・古いもの順に並び替えることができるように
なりました。
なお、設定いただいた並び順についてはIDごと(法人会員など枝番のあるI
Dの場合は枝番ごと)に保存されます。初期設定は「指定なし」ですので、必
要に応じてご設定ください。
※詳しくは検索トップ「【New】新機能の詳細はこちら」をご覧下さい。
(システム部長:小林 英樹)

(2)TAINSだより
TAINSだより(2023年夏号)を掲載いたしました。
≪特別寄稿≫
一時所得として得た債務免除益から控除できる
「その収入を得るために支出した金額」:東京地判令和5年3月14日の検討
(神奈川大学法学部准教授:藤間大順氏)
ログイン後のページ右下「TAINSだより」をクリックすると閲覧できます。
(事業部長:上田 健一)

(3)税理士会から提供いただいた相談事例とその他文書を収録しました。
「詳細検索」の「TAINSキーワード」に次のように入力します。
北陸税理士会 ☆2023年07月収録分 ‥‥12件【相談事例】
四国税理士会 ☆2023年07月収録分 ‥‥ 1件【その他文書】
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
無申告加算税の「正当な理由」/誤った内容の法定相続情報一覧図の写しの交付
(令04-06-16 非公開裁決 却下・全部取消し F0-3-854)

被相続人甲の共同相続人は、甲の長男A、二男B、甲の養子Cの代襲相続人で
ある請求人の3名でした。法務局にAら3名を相続人とする法定相続情報一覧図
の保管及びその写しの交付の申出をしたところ、請求人は相続人に該当しないと
して、相続人がA及びBとする法定相続情報一覧図の写しが交付されました。
この一覧図を基にAとBは遺産分割協議を行い、相続税の申告を行ったところ、
法務局の職員から請求人を除外したことは誤りであったと連絡を受け、再度、法
定相続情報一覧図の写しが交付されました。その後、請求人を交えて遺産分割協
議が行なわれ、請求人は相続税の申告をし、AとBは更正の請求を行いました。
本件は、原処分庁が、請求人に対し、無申告加算税の賦課決定処分をした事案
です。審判所は、国税通則法66条1項ただし書の「正当な理由」を認め、無申
告加算税の賦課決定処分の全てを取り消しています。

請求人が、初回一覧図写しの記載内容のとおり、自己が本件相続に係る相続人
に該当しないと判断して相続税の申告書を法定申告期限内に提出しなかったとし
ても、それには無理からぬ面があり、真に請求人の責めに帰することのできない
客観的な事情があり、無申告加算税の趣旨に照らしても、なお、これを課するこ
とは不当又は酷というべきであるから、期限内申告書の提出がなかったことにつ
いて国税通則法66条1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる
場合」に該当するというべきである。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/60949

TAINSメールニュース No.629 2023.07.27 発行(社)日税連税法データベース

2023年07月27日

【1】今週のお知らせ
(1)システム改修実施のお知らせ
下記の日程でシステム改修を行うため、作業時間帯はデータベースに一時的に
つながりにくくなる可能性がございます。
会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
げます。
日時:2023年7月31日(月) 午後10:00 ~ 午後11:00
(システム部長:小林 英樹)

(2)TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
とができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。

興銀事件から考える~貸倒損失の認定において社会通念基準は有効か?~
講 師:税理士 渡邉信子
(データベース部長:水庭 清隆)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
取引相場のない株式の評価~評価通達6が適用される特別の事情の有無~
(令04-03-25 非公開裁決 棄却 F0-3-858)

被相続人は、株式移転によりA社株式を取得し、相続開始直前に73億円を借
り入れ(本件借入れ)、A社が自己株式として保有していたA社株式を取得(本
件取得)しました。この事案は、審査請求人が、A社株式を評価通達に定める方
法(純資産価額方式、A社が保有する子会社2社の株式は類似業種比準方式)に
より株式の価額を評価して相続税の申告をしたところ、原処分庁が、A社株式の
価額は、評価通達の定めによって評価することが著しく不適当であるとして評価
通達6を適用したことから争われたものです。審判所では、次のとおり判断し、
原処分庁の鑑定評価に基づく評価方法を認めました。(本件は訴訟中です。)

A社が子会社株式を100%保有し、割合的持分を超えて会社全体を財産とし
て保有していたことからすると、A社株式について、不特定多数の当事者間で自
由な取引が行われる場合に、子会社株式についても純資産の価値を反映させた価
額を基に取引が成立することは、極めて自然で合理的なことというべきである。
本件は、評価通達の評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くこ
とによって、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的
に反し、かえって、相続発生を見越して本件借入れ及び本件取得に相当するよう
な行為を行わなかった納税者との間での実質的な租税負担の公平を著しく害する
ことが明らかであるといえるから、他の合理的な評価方法により、本件株式の適
正な時価を評価すべき特別の事情があると認められる。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61014

TAINSメールニュース No.628 2023.07.20 発行(社)日税連税法データベース

2023年07月20日

【1】今週のお知らせ
 サービス停止のお知らせ
  下記の日程でシステム改修を行うため、作業時間帯はすべての機能のご利用が
 できません。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
 げます。
  日時:2023年7月21日(金) 午後10:00 ~ 午後10:30
  ※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
                       (システム部長:小林 英樹)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
  マイナンバー利用差止請求/番号利用法及び番号制度の憲法適合性
 (令01-09-26 横浜地裁 棄却・控訴 Z999-5461)
 
  番号利用法に基づき、個人番号の付番を受けた原告らが、番号利用法及び同法
 に基づく個人番号の収集、保存、利用及び提供等の制度は原告らのプライバシー
 権等の人格権を侵害するものであり、憲法13条に違反する旨を主張して個人番
 号の収集、保存、利用及び提供の差止め並びに被告が保存している原告らの個人
 番号の削除を求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき、上記プライバシー
 権等の人格権の侵害による損害賠償を求めた事案です。
  横浜地裁は、次のように判断して、原告らの請求を棄却しました。
 
  番号利用法及び番号制度は、その施行により新たに個人のプライバシーを直接
 制約するものではなく、あくまで、個人番号や特定個人情報の不正な取得等や過
 失による漏えい等の制度の弊害により、個人のプライバシーが侵害される危険性
 を間接的に有するものにとどまるということができる。
  番号利用法及び番号制度の内容について、情報の収集、保有、管理、利用等の
 過程で、行政機関の職員の過誤や行政機関の内外からの不正な手段により当該個
 人に関する情報が漏えいするなどして、当該個人に関する情報が開示又は公表さ
 れる具体的危険があるということはできないから、番号利用法及び番号制度を、
 個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するもの
 として違憲であるということはできない。
 URL:https://app6.tains.org/search/detail/60911

TAINSメールニュース No.627 2023.07.13 発行(社)日税連税法データベース

2023年07月13日

【1】今週のお知らせ
 収録情報画面リニューアルのお知らせ
  TAINSホームページ「収録情報」がさらに便利になります。税目ごとに判
 決や裁決の収録内容をご覧いただけるだけでなく、相談事例や課税庁作成文書な
 ど、全ての情報区分の収録内容をご覧いただけるようになります。
  単語や判決・裁決年月日での簡単な絞り込みや、近日中に収録する予定の文書
 をチェックできるほか、気になる文書を選んで判決本文などの詳細画面に直行で
 きるリンクをご用意いたします。
  明日14日から、TAINSホームページ「収録情報」よりご利用いただけま
 す。ぜひご活用ください。
  こちらのURLから新・収録情報一覧画面をご覧ください。
  https://app6.tains.org/recordedcontents/listall/
        (システム部長:小林 英樹、データベース部長:水庭 清隆)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  所得区分/給与所得を有する医師の洋画等制作販売から生じた損失
 (令03-03-24 横浜地裁 棄却 控訴 Z888-2410)
 
  医師である原告は、医療法人社団の理事長を務め、1億円を超える多額の給与
 を得ていました。原告は、アトリエを借りて洋画等の制作を行い、その販売のた
 めに個展を東京、横浜、京都、ニューヨークで複数回開催しましたが、収益は大
 幅な赤字となりました。原告は、洋画等の制作販売から生じた所得(損失)は事
 業所得に該当するとして給与所得と損益通算して申告したところ、処分行政庁か
 ら、雑所得に該当するから損益通算はできないとして更正処分を受けました。
  横浜地裁は、社会的客観性をもって「事業」と認められるかを検討するに当た
 っては、「相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性」をも検討す
 べきであり、これは、「事業」の該当性の判断において、重要な要素であるとし
 た上で、次のように判示して、原告の請求を棄却しました。
 
  洋画等制作販売の活動に要する資金は、専ら給与所得等から調達されており、
 しかも、客観的収支状況や販売実績に照らせば、多額の資金を投じる一方で、収
 益は全く上がっておらず、およそ相当程度の期間継続して安定した収益が得られ
 る見込みがあったとはいえず、客観的にみて営利を目的として行われたものとも
 いえないことからすれば、社会通念上、洋画等制作販売が、自己の計算と危険に
 おいて独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思
 と社会的地位とが客観的に認められる業務であるとはいえず、事業に該当しない。
 この判断は、控訴審(令和3年11月17日東京高裁)でも維持されています。
 URL:https://app6.tains.org/search/detail/59883

TAINSメールニュース No.626 2023.07.06 発行(社)日税連税法データベース

2023年07月06日

【1】今週のお知らせ
(1)システムメンテナンスのお知らせ
  下記の日程でシステムメンテナンスを行うため、作業時間帯においてログイン
 できない等、動作が不安定になる場合がございます。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、下記メンテナンス時間帯のご利
 用を控えていただくようお願い申し上げます。
             記
 日時:2023年7月10日(月)22:00 ~ 24:00
 ※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
        (システム部長:小林 英樹、データベース部長:水庭 清隆)
 
(2)Japplic書式集検索のご紹介
  電帳法対応はお済みですか?TAINS会員の皆様が無料でご利用いただける
 日本法令のJapplic.nextでは電子帳簿保存法保管ガイド、電子取引データの訂正
 及び削除の防止に関する事務処理規程(法人向け・個人事業主向け)をご覧いた
 だけます。
  〔ご利用方法〕
  TAINSにログイン → 検索トップ画面下部「Japplic書式集検索」
  ログインページURLはこちら https://www.tains.org/
                        (税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  貸付金債権の評価~同族会社に対する貸付金の評価通達205(1)該当性~
 (令03-10-22 青森地裁 棄却 控訴 Z271-13620)
 
  本件は、平成28年10月に死亡した甲(亡甲)の長男である原告が、相続財
 産のうち株式会社A(本件会社)に対する貸金返還請求権について、評価通達2
 05の定めに基づき時価を0円として相続税の申告をしたところ、処分行政庁か
 らは評価通達204の定めに基づき同請求権の時価を相続開始時の残額(3億7
 029万5000円)で評価され、更正処分等を受けた事案です。亡甲は、本件
 会社の発行済株式のすべてを保有していました。
  青森地裁は、次のように判示して原告の請求を棄却しました。
 
  相続開始時において、本件会社が破産手続開始決定等を受けていたという事実
 はない以上、評価通達205(1)イないしホのいずれに該当する事由がない。
 また、原告は、相続開始時よりも前の平成28年10月5日に同年12月30日
 をもって休業する旨の取締役会決議(本件決議)がなされた旨主張しているが、
 本件決議は、同年12月30日をもって休業するというものにすぎず、相続開始
 時において、現に事業を継続していたものであるから、相続開始時において、「
 業況不振のため又はその営む事業について重大な損失を受けたため、その事業を
 廃止し又は6ヶ月以上休業して」いたものということができないのは明らかであ
 り、評価通達205(1)ヘに該当する事由もない。したがって、本件貸付金債
 権が、評価通達205(1)に該当する債権であるということはできない。
 URL:https://app6.tains.org/search/detail/61198

TAINSメールニュース No.625 2023.06.29 発行(社)日税連税法データベース

2023年06月29日

【1】今週のお知らせ
 システムメンテナンスのお知らせ
  下記の日程でシステムメンテナンスを行うため、作業時間帯においてログイン
 できない等、動作が不安定になる場合がございます。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、下記メンテナンス時間帯のご利
 用を控えていただくようお願い申し上げます。
              記
  日時:2023年7月5日(水)22:00 ~ 24:00
         7月10日(月)22:00 ~ 24:00
  ※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
        (システム部長:小林 英樹、データベース部長:水庭 清隆)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  裁判上の和解による債務免除益~一時所得から前訴の弁護士費用控除の可否~
 (令05-03-14 東京地裁 一部取消し・控訴 Z888-2487)
 
  亡甲の相続人である原告ら(甲の妻、子)は、亡甲の銀行に対する債務(甲の
 父である亡乙の債務の引受け)について、銀行との間で成立した、一定額の分割
 金を支払った場合には残部について債務免除をするとの裁判上の和解に基づき9
 億7370万円の債務免除を受け、その金額を総所得に算入しないで申告したと
 ころ、一時所得に該当するとして更正処分を受けました。争点の一つである前訴
 に要した弁護士費用等は、本件債務免除による債務免除益を受けるために要した
 支出であるので、所得税法34条2項により控除することができる「収入を得る
 ために支出した金額」に該当するか、特に「直接要した金額」といえるかが争わ
 れました。東京地裁は、次のように判示して処分の一部を取り消しました。
 
  本件和解の成立に向けられた訴訟活動は、本件和解ひいては本件債務免除との
 関係で直接性がある行為であると評価し得るので、前訴のための弁護士費用等は
 本件債務免除益を得るために「直接要した金額」に該当する。そして、亡甲の存
 命中に本件債務免除が行われた場合であれば、本件債務免除益から弁護士費用等
 がその一時所得を得るための支出として控除されたはずであるところ、そのよう
 な控除を受け得る法的地位は、亡甲の死亡により、相続人たる原告らに承継され
 たものと解すべきである。以上によると、前訴に要した弁護士費用等は、一時所
 得から控除することができるものというべきである。
 URL: https://app6.tains.org/search/detail/61173

TAINSメールニュース No.624 2023.06.22 発行(社)日税連税法データベース

2023年06月22日

【1】今週のお知らせ
(1)クレジットカード申込サイト 臨時メンテナンスについて
下記の日程でシステムメンテナンスを行います。
会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いい
たします。

日時:2023年6月28日(水)午前0:00~6月29日(木)7:59
※作業期間中はクレジットカードへの新規申込みができません。
(システム部長:小林 英樹)

(2)収録した税務訴訟資料第271号(課税関係判決)の一部を紹介します。
【所得税】
・R03-01-18 広島地裁 棄却、確定 Z271-13509
国家賠償請求/税務調査における国税調査官の発言等/税理士の名誉と精神的
苦痛
URL: https://app6.tains.org/search/detail/61104

【法人税】
・R03-04-15 大阪高裁 棄却、上告・上告受理申立て
Z271-13550
役員に対する経済的利益/代表者の妻による服飾品と宝飾品の購入
URL: https://app6.tains.org/search/detail/61163
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
固定資産税等/複合構造家屋の経年減点補正率/主たる構造の認定方法
(令04-03-24 大阪地裁 認容 控訴 Z999-8478)

本件は、平成2年新築の地下2階、地上18階建ての複合構造家屋である建物
(本件建物)を所有している原告が、大阪市長によって決定された本件建物の平
成30年度の価格を不服として、固定資産評価審査委員会の審査決定のうち19
億5007万1000円を超える部分の取消しを求める事案です。大阪地裁は、
次のとおり判断し、原告の請求を認容しました。

1棟方式により複合構造家屋の経年減点補正率を適用する場合、低層階方式よ
りも経年減点補正率に関する固定資産評価基準の趣旨に沿う評価方法である床面
積割合方式が存在するから、合理的な理由なく、低層階方式により評価をするこ
とは、評価の公平性を欠き、固定資産評価基準の趣旨に反するといえる。
本件建物のSRC造(鉄骨・鉄筋コンクリート造)又はRC造(鉄筋コンクリ
ート造)とS造(鉄骨造)との床面積割合比が約13:87であり、S造の床面
積割合比が9割近くにも上ることに照らせば、本件建物について低層階方式によ
り主たる構造を認定したことは、本件建物の構造に応じた減価割合をできる限り
正確に本件建物の価額に反映させるという観点からすると、明らかに不合理であ
るといえる。そうすると、大阪市長が、本件建物の価格の決定において、低層階
方式により主たる構造を認定して経年減点補正率を適用したことは、固定資産評
価基準に反するというべきである。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z999-8478
URL: https://app6.tains.org/search/detail/60875