TAINSメールニュース No.595 2022.11.10 発行(社)日税連税法データベース

2022年11月10日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
  TAINSだより(2022年秋号)を掲載いたしました。検索トップページ
 の右下「TAINSだより」をクリックすると、閲覧できます。
                         (事業部長:上田 健一)

(2)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【その他】
 ・R04-01-28 最高裁 一部破棄自判、一部棄却、一部却下、確定
                            Z999-5443
  損害賠償債務/離婚に伴う慰謝料が履行遅滞となる時期/遅延損害金の起算日
 
 【所得税】
 ・R01-10-24 裁決 棄却 F0-1-1211
  重加算税/第三者を利用した仮装行為/司法書士業
 ・R01-09-25 裁決 棄却 F0-1-1213
  先物取引に係る損失の繰越控除/更正の請求
 ・R01-09-03 裁決 棄却 F0-1-1215
  不動産所得の必要経費/借地人所有建物の取壊費用
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
  移転価格税制/残余利益分割法における重要な無形資産以外の要因の考慮
 (令04-03-10 東京高裁 棄却・確定 Z888-2428)
 
  特許権やノウハウ等の無形資産を有していたA社は、国外関連者との間でライ
 センス契約を結び、その対価であるロイヤルティの額を収益の額に算入して確定
 申告したところ、所轄税務署長から移転価格税制の適用を受けた事案です。
  東京地裁(令和2年11月26日)は、残余利益の分割は、重要な無形資産の
 開発に係るA社等の支出額のほかに、国外関連者の超過減価償却費を分割要因に
 加えて配分するのが相当としました。控訴審で、国側は、残余利益の分割要因に
 ついては、基本的には「重要な無形資産」のみをもって考慮されることが想定さ
 れていると主張しましたが、東京高裁は、国の控訴を棄却しています。
 
  超過利益は必ずしも重要な無形資産のみによってもたらされるとは限らず、ま
 た、重要な無形資産だけではなく、これと共に他の複数の利益発生要因が重なり
 合い、相互に影響しながら一体となって残余利益(超過利益)が得られることが
 あるという経済及び取引の実態を踏まえ、分割対象利益の発生に寄与した程度を
 推測するに足りる要因と認められる限り、これを分割要因とすることによって、
 内国法人と国外関連者との間で分割対象利益を適切に分割して独立企業間価格を
 認定するというものである。
  国外関連者による設備投資は、超過利益をもたらした複数の利益発生要因に関
 して重要な貢献をしており、設備投資に係る減価償却費につき、残余利益の分割
 要因とするのが相当である。
 《検索方法》
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2428

TAINSメールニュース No.594 2022.10.27 発行(社)日税連税法データベース

2022年10月27日

【1】今週のお知らせ
 収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【法人税】
 ・R03-02-16 裁決 棄却 F0-2-1033
  源泉所得税/インド法人に支払った技術上の役務に対する料金
 ・R03-07-16 東京地裁 棄却 Z888-2422
  源泉徴収義務/減額更正処分で否認された売上高と役員給与等に係る源泉所得
 税
 
 【所得税】
 ・R04-09-09 東京地裁 却下、棄却 Z888-2427
  修正申告の無効確認の訴え/通知処分の違法/風俗業
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  取引相場のない株式~発行会社を介する三者間の譲渡にみなし譲渡課税等~
 (令04-02-14 東京地裁 棄却 Z888-2419)
 
  A社は、代表取締役(甲)から、A社株式5000株を1株当たり1500円
 で取得(本件取引1)した上で、取締役兼営業部長である甲の長男(乙)に譲渡
 (本件取引2)しました。同様に、A社は、同社の元取締役から、A社株式1万
 1460株を取得した上で、乙に譲渡(本件取引3)しました。この事案は、A
 社の自己株式の取得及び譲渡に係る取引について、処分行政庁から、甲はみなし
 譲渡に該当するとして、乙は享受した経済的な利益が給与所得に該当するとして
 更正処分を、A社は源泉所得税の納税告知処分を受けたことから争われたもので
 す。裁判所では、次のとおり判断し、甲、乙及びA社の請求を棄却しました。
 
  本件取引1は、所基通59-6に基づき算定した価額(1株当たり1万757
 7円)の2分の1に満たない金額(1株当たり1500円)によりA社株式50
 00株を譲渡したものであり、所得税法59条1項2号所定の「著しく低い価額
 の対価として政令で定める額による譲渡」に該当するものと認められるから、同
 項の規定を適用したことをもって、甲の更正処分が違法なものはいえない。
  乙は、本件取引2及び3の時における価額と実際の対価の額との差額に相当す
 る経済的な利益を享受したものであるし、この経済的な利益は所得税法28条1
 項所定の「給与等」に該当するものと認められるから、同項の規定を適用したこ
 とをもって、乙の更正処分及びA社の納税告知処分が違法なものとはいえない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2419

TAINSメールニュース No.593 2022.10.20 発行(社)日税連税法データベース

2022年10月20日

【1】今週のお知らせ
(1)サービス停止のお知らせ
  下記の日程でシステム改修を行うため、作業時間帯はすべての機能のご利用が
 できません。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
 げます。
  日時:2022年10月27日(木) 午後10:00 ~ 午後10:30
  ※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
                       (システム部長:小林 英樹)
 
(2)TAINS研修サイトの更新について
  研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
 NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
  ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
 デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
 視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
 とができます。
  同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
 して受講・登録ができます。
         記
  株式と貸付金が同時に法人へ遺贈された場合の非上場株式の評価
                    ~貸付金債務は負債計上すべきか~
     講 師:税理士 兼平浩美
                         (事業部長:上田 健一)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
  徴収事件/賃貸借契約に係る保証金の返還請求権の差押えと修繕費との相殺
 (平21-02-25 吹田簡裁 国の請求認容 Z777-2106)
 
  原告(国)が差し押さえた滞納者(賃借人)の賃貸借契約に係る保証金の返還
 請求権は、物件の明渡し時の損耗・汚損に係る修繕費と相殺することはできない
 とする国と相殺できるとする賃貸人(被告)とが争った事案です。
  裁判所は、国の請求を認めました。
 
  賃貸人の主張(本件物件には、明渡し時に損耗・汚損が存在し、この損耗・汚
 損は、賃借人の通常の使用による程度を越えるものであるから、フローリング工
 事費用のうち、1平方メートル分の工事費用として1万1000円及び襖5枚分
 工事費用として1万1600円は、賃借人が負担すべきものとして、充当により、
 返還すべき本件保証金から差し引かれるべきものである。)は、採用できない。
  賃貸人の主張に添う証拠としては管理会社代表者作成の陳述書が存在するもの
 の、少なくとも、その損耗・汚損が通常の使用による程度を超えるものであるか
 どうかの点に関しては、賃借人である滞納者作成の陳述書及び退室申込書に照ら
 して直に信用することができない。かえって、退室申込書の内装確認欄には、損
 傷箇所を指摘する複数の記載があるものの、その中にはフローリングや襖につい
 ての記載はないのであって、このことは、仮にフローリングや襖に何らかの損耗
 ・汚損が存在したとしても、それは通常の使用によって生じる程度のものに過ぎ
 なかったのではないかとの推測を生じさせる。
  ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z777-2106

TAINSメールニュース No.592 2022.10.13 発行(社)日税連税法データベース

2022年10月13日

【1】今週のお知らせ
(1)公表裁決事例を収録いたしました。
  国税不服審判所のホームページに掲載された、令和4年1月から3月分の公表
 裁決事例の収録が完了いたしました。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】★裁決事例集126集
 
(2)収録した判決の一部を紹介します。
 【法人税】
 ・R04-03-10 東京高裁 棄却・確定 Z888-2428
  移転価格税制/残余利益分割法/重要な無形資産以外の要因を考慮することの
 可否
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  駐車場収入の帰属/親子間の土地使用貸借契約/高裁で逆転判決
 (令04-07-20 大阪高裁 原判決取消し 確定 Z888-2426)
 
  亡甲(一審原告)は、子ら(長男及び長女)との間で、各土地の使用貸借契約
 を締結し、駐車場収入は子らに帰属するものとして申告したところ、処分行政庁
 から、駐車場収入は亡甲に帰属するとして更正処分を受けました。大阪地裁は、
 亡甲の請求を認容しましたが、大阪高裁は、次のように判示して、駐車場の収益
 は、土地の所有者である亡甲に帰属すると判断しました。
 
  親子間での土地の使用貸借契約は有効に成立していると認められる。しかし、
 本件各取引は、亡甲の相続税対策を主たる目的として、土地の所有権はあくまで
 も亡甲が保有することを前提に、土地による所得を子らに形式上分散する目的で、
 同人らに対して使用貸借契約に基づく法定果実収取権を付与したものにすぎない
 ものと認められる。したがって、たとえ、本件各取引後、駐車場の収益が子らの
 口座に振り込まれていたとしても、そのように亡甲が子らに対する土地の法定果
 実収取権の付与を継続していたこと自体が、亡甲が所有権者として享受すべき収
 益を子に自ら無償で処分している結果であると評価できるのであって、やはりそ
 の収益を支配していたのは亡甲というべきであるから、駐車場の収益については、
 子らは単なる名義人であって、その収益を享受せず、亡甲がその収益を享受する
 場合に当たるというべきである。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2426

TAINSメールニュース No.591 2022.10.06 発行(社)日税連税法データベース

2022年10月06日

【1】今週のお知らせ
 収録した判決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・R03-05-27 東京地裁 棄却、控訴 Z888-2423
  更正の予知/相続税の調査により所得税の申告漏れが判明した場合
 
 【その他】
 ・R03-03-30 大阪高裁 原審判取消し、申立て許可、
        特別抗告・許可抗告(抗告棄却・不許可) Z999-5438
  死後離縁の申立て/死亡した養子の養子を推定相続人から排除する目的でされ
 た場合
 ・R03-01-21 東京地裁 原判決変更、一部認容、確定
                            Z999-5439
  建物賃貸借契約の法定更新/更新事務手数料条項の「消費者契約法10条」該
 当性
 ・R03-06-23 最高最 上告棄却、確定 Z999-9168
  補助金不正受給/詐欺罪で起訴されたときの補助金等不正受交付罪と詐欺罪と
 の関係
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  更正の予知~関係法人に対する調査が請求人に対する調査と認定された事例~
 (令02-04-23 非公開裁決 棄却 F0-2-1004)
 
  不動産賃貸業等を目的とする請求人が、法人税等の修正申告書を提出したとこ
 ろ、原処分庁が、架空の管理費及び修繕費の計上による仮装の行為があったとし
 て、青色申告の承認の取消処分及び重加算税の各賦課決定処分を行いました。
  審判所は、関係法人と請求人が、人的・物的関係において共通性を有した相当
 密接な関係にあることなどから、次のとおり認定し、請求人の行為は、所得に関
 し、故意に事実をわい曲したものであり、事実の仮装の行為に当たり、各処分等
 は適法であるとして請求を棄却しました。
 
  関係法人の調査の内容は、まさに、請求人の不正の行為に関連する証拠の収集
 であり、進捗状況としても、その後の通常想定される調査が行われれば、請求人
 の不正の行為が解明されることが相当程度確実といえる段階に達していたという
 ことができ、現に、請求人は、その不正の行為がいずれ発覚するとの認識の下、
 当該不正の行為に係る修正申告書を提出したものと認められるから、本件修正申
 告書の提出は、調査を受けたことを原因として更正される可能性があるとの認識
 によってされたものと認められる。
  したがって、本件修正申告書の提出は、「調査があったことにより当該国税に
 ついて更正があるべきことを予知してされたものでない」とはいえない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-1004

TAINSメールニュース No.590 2022.09.29 発行(社)日税連税法データベース

2022年09月29日

【1】今週のお知らせ
 TAINS研修サイトの更新について
  研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
 NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
  ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
 デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
 視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
 とができます。
  同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
 して受講・登録ができます。
         記
  ユニバーサルミュージック事件~同族会社の行為計算の否認規定~
     講 師:税理士 黒住茂雄        
                         (事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  役員退職給与の損金算入の可否~退職の事実とみなし役員の該非~
 (令02-12-15 非公開裁決 全部取消し F0-2-1010)
 
  請求人に合併された法人が、元代表取締役に対して支給した退職金の金額を損
 金の額に算入して法人税等の申告を行ったところ、原処分庁が、元代表取締役は
 登記上退任した後も被合併法人の経営に従事しており、実質的に退職したとは認
 められないから、当該金額は退職給与として損金の額に算入されないとして更正
 処分等を行いました。これに対して請求人が、元代表取締役は形式的にも実質的
 にも被合併法人を退職したのであるから、当該金額は損金の額に算入されるなど
 として、原処分の全部の取消しを求めた事案です。
  審判所は、次のように判断し、請求人の主張を認めました。
 
  元代表取締役(本件元代表者)は、各退任の日以降、本件各法人のいずれから
 も、役員報酬や従業員給与を受領していないと認められること、他方で、本件各
 退任後に就任した各法人の代表取締役らが、本件各退任直後から、その代表取締
 役としての職務を全く行っていなかったことを認めるに足りる証拠もないこと、
 また、本件元代表者が各退任の約5か月前に海外に住所を移転しており、各退任
 に至った経緯が不自然であるともいえないことからすれば、本件元代表者が、各
 退任後も継続して、本件各法人の事業運営上の重要事項に参画するみなし役員に
 該当し、本件各法人を実質的に退職していなかったと認めることはできない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-1010

TAINSメールニュース No.589 2022.09.22 発行(社)日税連税法データベース

2022年09月22日

【1】今週のお知らせ
(1)中国税理士会から提供いただいた「研究論文集」を収録しました。
   「細かい条件を指定して検索」をクリックし、「TAINSキーワード」に
   次のように入力します。税区分は、「その他」です。
    中国税理士会研究論文集0005 ‥‥ 1件
 
(2)収録した裁決の一部を紹介します。
 【法人税】
 ・R02-02-18 裁決 棄却 F0-2-1001
  株式の取得価額/コスト削減のために取得した子会社株式の取得価額
 ・R02-03-18 裁決 棄却 F0-2-1003
  移転価格税制/複数の取引を一体として独立企業間価格を算定することの合理
 性
 ・R02-04-23 裁決 棄却 F0-2-1005
  更正の予知/修正申告書の提出と関係会社に対する犯則調査
 ・R02-05-29 裁決 棄却 F0-2-1007
  役員給与/不相当に高額な部分の金額/類似法人の役員給与の最高額の平均額
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
  社会保険料控除/ユネスコが運営する基金に対する保険料
 (令02-06-17 非公開裁決 棄却・却下 F0-1-1275)
 
  本件は、国際連合の専門機関(ユネスコ)に勤務していた請求人が、当該機関
 の退職年金から控除されたユネスコ職員等の健康保険制度(ユネスコが運営する
 Medical Benefits Fund)に係る保険料は社会保険料控除
 の対象であるとして更正の請求をしたところ、原処分庁が、更正をすべき理由が
 ない旨の通知処分をしたのに対し、その取消しを求めた事案です。
  審判所は次のとおり判断し、請求人の請求を棄却しました。
 
  社会保険料控除の対象となる社会保険料は、所得税法74条《社会保険料控除》
 2項及び所得税法施行令208条《社会保険料の範囲》において限定的に列挙さ
 れているのであるから、実特法(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及
 び地方税法の特例等に関する法律)5条の2第1項の規定のように、居住者が支
 払った又は控除される保険料を所得税法74条2項に規定する社会保険料とみな
 す旨の特段の規定がある場合を除き、上記の法令において列挙されていない保険
 料は社会保険料控除の対象とならないものと解される。
  本件保険料は、上記の法令において列挙されておらず、また、本件保険料を所
 得税法74条2項に規定する社会保険料とみなす旨の特段の規定も存在しないこ
 とから、本件保険料が社会保険料控除の対象ではないことは明らかである。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-1-1275

TAINSメールニュース No.588 2022.09.15 発行(社)日税連税法データベース

2022年09月15日

【1】今週のお知らせ
 収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【相続税】
 ・R02-05-11 裁決 却下 F0-3-740
  審査請求期間の徒過/「正当な理由」の有無
 ・R02-04-13 裁決 棄却 F0-3-741
  信義則違反の有無/小規模宅地等の特例を適用できる旨の相談担当職員の誤っ
 た回答
 ・R02-03-24 裁決 棄却 F0-3-742
  不動産の評価/鑑定評価の合理性・「特別の事情」有無
 ・R02-03-17 裁決 一部取消し F0-3-743
  土地の評価(鑑定評価の合理性)/理由提示の不備/信義則違反の有無
 
 【法人税】
 ・R02-01-22 裁決 却下 F0-2-1000
  更正の請求/審査請求の係属中に行われた再更正処分
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
  移転価格税制/従業員が国外関連者の工場に出張して行った技術支援
 (令02-03-19 非公開裁決 一部取消し F0-2-948)
 
  請求人は、従業員を国外関連者の工場に出張させるなどして技術支援を行って
 いました。本件は、この技術支援が国外関連者との間で行った役務の提供であり、
 国外関連者から支払を受ける対価の額が措置法66条の4第1項の独立企業間価
 格に満たないとして、原処分庁から法人税等の更正処分等を受けた事案です。
  審判所は、技術支援Aは、国外関連者との間で行った役務の提供と認めず、国
 外関連者との間で行った役務の提供であることに双方争いのない技術支援Bにつ
 いて、改めて独立企業間価格を算定し、原処分の一部を取り消しています。
 
  技術支援Aは、本件フィリピン法人の要請を受けて行われており、請求人は、
 その支援した内容及びその結果などの情報をフィリピン法人に提供していたこと
 が認められる。また、技術支援Aの対象である製品A用の部品は、フィリピン法
 人が販売している製品Aの基幹部品で、それによって製品Aの性能を左右するも
 のであり、技術支援Aを受ける必要があったと認められる。そして、各契約の対
 価の決定に当たっても、国外関連者の工場への出張等に係る費用などが基礎とさ
 れていたことなども考慮すれば、技術支援Aがフィリピン法人との間で締結され
 た技術支援契約に基づいて行われたとすることにも合理性がある。
  したがって、技術支援Aは国外関連者との間で行った役務の提供であると認め
 ることはできない。
 《検索方法》
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-948

TAINSメールニュース No.587 2022.09.08 発行(社)日税連税法データベース

2022年09月08日

【1】今週のお知らせ
 収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【相続税】
 ・R03-07-14 東京高裁 棄却、上告、上告受理申立て
                        Z888-2415
  相続財産は土地売買契約の売買残代金請求権/重加算税(生前に契約解除と仮
 装)
 ・R03-06-02 東京高裁 棄却、確定 Z888-2416
  不服申立前置/求償債権の存否/債務を免除する黙示の意思表示の有無
 
 【所得税】
 ・R02-06-04 裁決 却下、一部取消し F0-1-1269
  更正処分の適法性/税理士への委任と委任者の責任
 ・R02-06-11 裁決 棄却 F0-1-1272
  通則法74条の11第6項の「質問検査等」該当性
 
 【法人税】
 ・R02-02-06 裁決 棄却 F0-2-944
  重加算税/寄附金/関係法人に対する業務委託料
 ・R02-01-07 裁決 棄却 F0-2-999
  欠損金の繰戻しによる還付請求/還付請求書の期限後の提出
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  贈与事実の認定~被相続人名義の預金口座から出金された使途不明の現金~
 (令02-11-17 非公開裁決 一部取消し F0-3-736)
 
  請求人は、相続開始前に被相続人の預金口座から現金を出金して、請求人の管
 理する預貯金口座へ現金を入金した事実があったと推認され、原処分庁から相続
 税法9条(みなし贈与)の規定により、平成24年分から平成26年分までの贈
 与税の決定処分を受けたことから、その取消しを求めて審査請求をしました。
  審判所では、次のとおり、現金の贈与があったと判断しました。なお、相続税
 法9条は適用できないとした上で、原処分庁と審判所との認定額に相違があった
 ことから、平成24年分及び平成25年分の決定処分の一部を取り消しました。
 
  一般に妻子等自己と極めて親密な身分関係にある者の間で財貨の移動があった
 場合、これが租税回避の手段としてされることが少なくないため、贈与税の課税
 に当たっては実質課税の原則に則り、実質に着目して行われるべきである。した
 がって、親族間で財貨の移動があった場合には、後にその財貨が現実に返還され
 るか又は将来返還されることが極めて確実である等特別の事情が存在しない限り、
 贈与であると認めるのが相当である。
  本件では、請求人が被相続人各口座から出金した現金のうち、使途が不明な現
 金については、出金時、親族間で財貨の移動があった場合に該当し、また、その
 後にその財貨が現実に返還され又は返還されることが確実であった等特別な事情
 が存在した事実もなかったから、請求人による出金時において、被相続人から請
 求人に対し贈与されたと認めるのが相当である。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-3-736

TAINSメールニュース No.586 2022.09.01 発行(社)日税連税法データベース

2022年09月01日

【1】今週のお知らせ
 TAINS研修サイトの更新について
  研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
 NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
  ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
 デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
 視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
 とができます。
  同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
 して受講・登録ができます。
         記
  土地売買契約後に相続が開始した場合の財産評価
                ~合意解除は相続税に影響するのか~
     講 師:税理士 与北奈須夫
                         (事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
  国家賠償請求/固定資産税等/不整形地補正に係る注意義務違反の有無
 (令02-11-26 大阪地裁 棄却 Z999-8442)
 
  原告が、市長がした固定資産税等の賦課決定には、不整形地補正をしなければ
 ならなかったにもかかわらずこれを怠ったという違法があり、過大な固定資産税
 等の納付をさせられたなどと主張して、被告(市)に対し、国家賠償法1条1項
 に基づく賠償請求を求める事案です。裁判所は、原告の請求を棄却しました。
 
  不整形地補正の趣旨は、画地の形状は一般には不整形なものが多いと考えられ
 るものの、画地の形状が悪いことによって画地の全部が宅地として十分に利用で
 きないという利用上の制約が生じている場合があるから、このような制約の有無
 や程度を宅地の価格を求めるに当たって考慮するのが相当であるという点にある。
  そうすると、一辺が路線に接する矩形の画地以外の画地は全て「不整形地」に
 当たるというわけではなく、ある程度不整形な画地であっても家屋の建築等が通
 常の状態において行い得るものは「不整形地」に当たらないと解するのが相当で
 ある。基準日において、本件土地の形状は矩形であって、土地上に建物が存在し
 ていたというのである。そうすると、市長が、本件土地について、家屋の建築等
 が通常の状態において行い得るものであるなどとして、「不整形地」であると認
 めなかったことに関し、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と
 当該行為を行ったと認め得るような事情は認められない。
  ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z999-8442