TAINSメールニュース No.606 2023.02.02 発行(社)日税連税法データベース

2023年02月02日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
  TAINSだより(2023年新年号)を掲載いたしました。
  ≪特別寄稿≫2022年の裁判例を振り返る
                (TAINS編集長:三木 義一)
  検索トップページ右下「TAINSだより」をクリックすると閲覧できます。
                         (事業部長:上田 健一)
 
(2)収録した裁決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・R03-06-08 裁決 棄却 F0-1-1317
  所得の帰属/駐車場の実質的な賃貸人
 ・R03-05-20 裁決 棄却 F0-1-1319
  上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除/連続申告要件
 ・R03-06-24 裁決 棄却 F0-1-1320
  青色申告特別控除の適用要件/貸借対照表の不添付
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
 「居住者」該当性/内国法人及び外国法人2社の取締役/職業活動と住所の判定
 (令03-11-25 東京地裁 棄却・確定 Z888-2434)
 
  原告は、内国法人及び外国法人2社(台湾及びシンガポール)の取締役として
 役員報酬を得ていました。本件は、原告が「居住者」に該当することを前提に申
 告した後、「非居住者」に該当するとして更正の請求をしたところ、更正すべき
 理由がない旨の通知処分を受けたため、その取消しを求めた事案です。東京地裁
 は、「住所」を民法と同義に解釈すべき以上、生活の本拠の判断において特段職
 業を重視すべき理由はなく、職業は、滞在日数等の他の要素とともに総合して考
 慮すべき一要素と解するのが相当であるとした上で、次のように判示し、原告は
 日本国内に住所を有する者として「居住者」に該当すると判断しました。
 
  原告は、本件各係争年のいずれの年においても、1年のうち3分の2以上の期
 間を日本国内に滞在し、国内の滞在日数と国外の滞在日数との間に有意な差があ
 る上、日本国内の滞在期間のうち大部分を過ごしていた本件住宅は、原告夫婦が
 事実上所有者として使用できる状況にあったものであり、実際に、原告の癌の治
 療、療養等の活動において重要な拠点として機能していた。他方、原告の職業活
 動の中心は外国法人2社の業務にあるが、その業務において原告が重要な役割を
 果たしていたことが、直ちに当該法人の所在地に生活の中心があったことを意味
 するものではないというべきである。以上によれば、原告の生活に最も関係の深
 い一般的生活、全生活の中心は日本にあったものであるから、原告の生活の本拠
 である「住所」は日本国内の本件住所地であると認めるのが相当である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2434

TAINSメールニュース No.605 2023.01.26 発行(社)日税連税法データベース

2023年01月26日

【1】今週のお知らせ
(1)サービス停止のお知らせ
  下記の日程でシステム改修を行うため、作業時間帯はすべての機能のご利用が
 できません。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
 げます。
  日時:2023年1月26日(木) 午後10:00 ~ 午後10:30
  ※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます
                       (システム部長:小林 英樹)
 
(2)誤りやすい事例集(大阪国税局作成)を収録いたしました。
  大阪国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録が完了いたしま
 した。
  〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSコード】に以下の各コードを入力
 で検索いただけます。
 
  相続事例大阪局R040000
  通則事例大阪局R040000
  所得事例大阪局R040000
  消費事例大阪局R040000
 
 ※上記以外の情報については、現在開示請求手続き中です。
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  所得税額控除~収益事業以外の事業等から生ずる利子及び配当等に係る所得税
 (令04-01-14 東京地裁 却下・棄却 控訴 Z888-2451)
 
  非営利型法人に該当する一般財団法人である原告が、本件事業年度の法人税に
 ついて、収益事業以外の事業に属する資産から生じた利子及び配当等について源
 泉徴収された所得税の額に相当する還付を求める更正の請求をしたところ、鹿児
 島税務署長から、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けました。本件は、
 原告が、本件利子及び配当等については非課税とされるべきであるなどとして、
 通知処分の取消し等を求めた事案です。原告は、公益法人制度改革に伴う所得税
 法及び法人税法の改正(本件立法行為)が違憲、無効であると主張しました。
  東京地裁は、通知処分の適法性について次のとおり判断し、棄却しました。
 
  源泉徴収された利子及び配当等に対する所得税については、法人税法68条、
 78条1項、74条1項3号による場合を除いて、これを利子及び配当等の受領
 者である内国法人に直接還付すべきことを定める法律上の規定は存在しない。し
 たがって、本件立法行為の違憲、無効を理由として本件通知処分が違法となる旨
 の原告の主張は、その前提を欠くものといわざるを得ず、失当である。
  法人税法68条を改正しなかったことが、立法目的との関係で必要性又は合理
 性を欠くことが明らかということもできない。したがって、本件立法行為が憲法
 14条1項、29条に違反するものということはできない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2451

TAINSメールニュース No.604 2023.01.19 発行(社)日税連税法データベース

2023年01月19日

【1】今週のお知らせ
 誤りやすい事例集(東京国税局作成)を収録いたしました。
  東京国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録が完了いたしま
 した。
  〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSコード】に以下の各コードを入力
 で検索いただけます。
 
  所得事例東京局R0412
  消費事例東京局R0412
  法人消費事例東京局R040900
 
 ※大阪国税局作成分は、現在収録準備中(一部、開示請求手続き中)です。
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  倒産の危機にない子会社に対して行ったDES~寄附金の額に該当~
 (令03-03-02 非公開裁決 棄却 F0-2-1032)
 
  原処分庁が、審査請求人(請求人)が子会社であるB社に対して有していた債
 権を当該子会社に現物出資することによって生じた損失の額は、倒産の危機にな
 い子会社に対する経済合理性のない過剰支援であるから寄附金の額に該当するな
 どとして、法人税等の更正処分等をしました。これに対し、請求人が、子会社は
 倒産の危機にあり、現物出資により生じた本件損失額は寄附金の額に該当しない
 などとして、原処分の一部の取消しを求めた事案です。
  本件損失額が寄附金の額に該当するか否かが主な争点ですが、審判所は、次の
 ように判断して、請求人の主張を棄却しました。
 
  債権放棄等が寄附金に該当しないといえるためには、当該債権放棄等がやむを
 得ず行われるものであること(必要性)と、合理的な再建計画に基づくものであ
 ること(相当性)の検討が必要であるというべきである。
  B社は、実質債務超過に陥ったものの、損益、資金繰り及び主要顧客との取引
 の各状況からみて、本件DESの実行時において、倒産の危機にあったとまでは
 認められないから、本件DESの必要性があったとはいえない。また、B社の再
 建計画に合理性があったことを基礎付けるものとはいえず、本件DESに相当性
 は認められない。したがって、本件DESにより供与した経済的利益の額である
 本件損失額は、寄附金の額に該当するというべきである。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-1032

TAINSメールニュース No.603 2023.01.12 発行(社)日税連税法データベース

2023年01月12日

【1】今週のお知らせ
 TAINS研修サイトの更新について
  研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
 NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
  ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
 デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
 視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
 とができます。
  同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
 して受講・登録ができます。
         記
  上場株式等の譲渡損失の損益通算・繰越控除と確定申告
     講 師:税理士 菅野真美
                         (事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
 重加算税/外部からもうかがい得る特段の行動/生命保険金の申告漏れ
 (令04-04-15 公表裁決 一部取消し J127-1-01)
  
  本件は、請求人が、生命保険契約等に基づく一時金等を一時所得等に含めるな
 どして所得税等の修正申告をしたところ、原処分庁が、重加算税の賦課決定処分
 をしたのに対し、請求人がその取消しを求めた事案です。審判所は、次のとおり
 判断し、原処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分を取り消しました。
 
  請求人が保険の取扱代理店の営業担当者から本件一時金に係る課税関係の説明
 を受けた事実、あるいは、各保険会社から本件一時金等に係る支払明細書等(本
 件各書面)の送付を受けた事実だけをもって、請求人が、本件確定申告の時点に
 おいて、本件一時金等の存在及び所得税等の申告の必要性を直ちに認識していた
 とまではいえず、本件において、請求人が本件一時金等を申告しないことを意図
 していたとまではいえない。請求人と親族との間において、確定申告書の作成の
 補助を依頼した際にどのようなやり取りがあったのかは明らかではなく、請求人
 が親族に本件一時金等の存在を伝えなかった理由を明らかにすることはできない。
 請求人は、本件各書面をいずれも廃棄しているが、請求人が本件各書面について
 その内容を理解しないまま廃棄した可能性は否定できない。
  以上のことから、請求人が親族に、本件一時金等が振り込まれた口座の通帳を
 提示しなかった、あるいは、本件各書面を廃棄したことをもって、請求人が過少
 申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】J127-1-01

TAINSメールニュース No.602 2023.01.05 発行(社)日税連税法データベース

2023年01月05日

【1】今週のお知らせ
 収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【法人税】
 ・R03-10-29 東京地裁 棄却、控訴 Z888-2433
  低額譲渡/株式譲受けに係る対価の額/実質的に贈与を受けたと認められる金
 額
 ・R02-12-16 裁決 棄却 F0-2-1020
  子会社株式評価損/子会社の資産状態の著しい悪化
 ・R01-05-23 裁決 棄却 F0-2-1036
  外国子会社株式評価損/評価損計上後の事業年度に譲渡損失が発生している株
 式
 
 【消費税】
 ・R03-08-24 東京高裁 棄却 Z888-2452
  「給与等」該当性/従業員から外注先に変更になった塗装作業員に支払った報
 酬
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等          (税法データベース編集室:草間 典子)
 組織再編成に係る行為計算否認/2段階の合併を経て引き継がれた欠損金額
 (令02-11-02 非公開裁決 棄却 F0-2-1034)
  
  本件は、C社がB社を吸収合併(合併1)し、同日、請求人がC社を吸収合併
 (合併2)を行い、被合併法人の未処理欠損金額を損金の額に算入して連結確定
 申告をしたところ、原処分庁が組織再編成に係る行為又は計算の否認規定を適用
 して、法人税等の更正処分等を行った事案です。合併1は、法人税法上の完全支
 配関係適格合併の要件を、合併2も支配関係適格合併の要件を満たしていました。
  審判所は、法人税法57条2項の趣旨目的から逸脱しているか否かは、事業の
 移転及び継続を含め検討すべきとし、本件更正処分等は適法と判断しています。

  請求人が完全支配関係にないB社を直接合併する場合は、未処理欠損金額を引
 き継ぐためには、事業継続要件を満たす必要があるところ、B社は合併の日から
 遡ること5年以上も前から事実上休眠状態にあり、事業実態はなかったものと認
 められる。B社にはそもそも組織再編成によって「引き継がれるべき事業」がな
 く、B社が有する未処理欠損金額は、通常の組織再編成の手順によっては請求人
 に引き継がれることがなかったものである。それが、合併1という形式を作出す
 ることにより、B社の未処理欠損金額が、実際に事業を営むC社の未処理欠損金
 額として変換されることで、あたかも事業継続要件を満たすような外形が作り出
 されたものといえる。このような場合にまで、未処理欠損金額の引継ぎを認める
 のは、法人税法57条2項の趣旨及び目的から逸脱したものといわざるを得ない。
 
 《検索方法》
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-1034

TAINSメールニュース No.601 2022.12.22 発行(社)日税連税法データベース

2022年12月22日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINS研修サイトの更新について
  研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
 NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
  ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
 デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
 視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
 とができます。
  同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
 して受講・登録ができます。
         記
  土地使用貸借契約が成立した後の不動産所得(駐車場収入)の帰属
                 ~使用貸借が節税策として利用された事案~
     講 師:税理士 木村紀代
                         (事業部長:上田 健一)
 
(2)次号メールニュースは来年1月5日に配信します。
  次週12月29日は休日のため、メールニュース602号は1月5日に配信し
 ます。
 
(3)公表裁決事例を収録いたしました。
  国税不服審判所のホームページに掲載された、令和4年4月から6月分の公表
 裁決事例の収録が完了いたしました。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】★裁決事例集127集
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  特定路線価の必然性~路線価が設定されていない道路のみに接する宅地~
 (令02-08-21 非公開裁決 棄却 F0-3-755)
 
  審査請求人らは、路線価の設定されていない道路(2項道路)のみに接してい
 る宅地について、評価通達に定める特定路線価の設定の申出をしないで、その道
 路に接続する路線に設定された路線価(接続路線価)に基づいて評価し、相続税
 の申告をしましたが、特定路線価に基づいて評価するべきであるとして更正処分
 を受けました。審判所では、次のとおり判断し、更正処分を適法としました。
 
  接続路線価に基づく方法は、評価しようとする宅地と接続路線との位置関係が
 近い場合には相応の合理性が認められるものの、その位置関係が遠くなるほど合
 理性は逓減する評価方法といわざるを得ない。一方、特定路線価に基づく方法は、
 特定路線価が、これを設定しようとする道路の接続路線及び当該道路の付近の路
 線に設定されている路線価を基に、当該道路の状況、評価しようとする宅地の存
 する地区の別等の各比準要素を考慮して評定されるものであることから、評価し
 ようとする宅地の価額とその付近の路線に接する宅地の価額とのバランスを失す
 ることのないように評価することのできる、より合理的な評価方法である。
  したがって、路線価の設定されていない道路のみに接している路線価地域内の
 宅地の価額は、当該道路に特定路線価が設定されている場合には、その特定路線
 価の評定において不合理と認められる特段の事情がない限り、特定路線価に基づ
 く方法により評価すべきである。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-3-755

TAINSメールニュース No.600 2022.12.15 発行(社)日税連税法データベース

2022年12月15日

【1】今週のお知らせ
 収録した裁決の一部を紹介します。
 【法人税】
 ・R02-03-02 裁決 棄却 F0-2-1013
  低額譲受けによる受贈益/完全子会社化を目的に行われた株式譲受けと株式交
 換
 ・R02-06-01 裁決 棄却 F0-2-949
  特定資産買換え/譲渡した土地は棚卸資産か固定資産か
 
 【所得税】
 ・R02-09-17 裁決 全部取消し、一部取消し F0-1-1285
  所得の帰属と所得区分/不正指南等に係る業務委託報酬/税理士業
 ・R03-01-20 裁決 却下 F0-1-1304
  処分の不存在/税務相談の回答を対象とした審査請求
 ・R03-02-05 裁決 棄却 F0-1-1305
  馬券払戻金の所得区分/通常馬券・WIN5
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
  固定資産税等/複合構造家屋における経年減点補正率の選択/低層階方式は?
 (令04-03-25 大阪地裁 認容・控訴 Z999-8454)
 
  原告は、複合構造家屋である本件各家屋(1及び2)の平成30年度の登録価
 格に不服があるとして、大阪市固定資産評価審査委員会に対し審査の申出をした
 ところ、同委員会は、家屋1(25階建て、S造部分58%)については審査の
 申出を棄却、家屋2(地下階付き地上9階建て、S造部分80%)については登
 録価格を一部修正すべきとしたことから、本件各価格は、いずれも経年減点補正
 率の適用を誤ったために固定資産評価基準によって決定される価格を上回ると主
 張して、評価基準によって決定される価格を超える部分の取消しを求めました。
 
  裁判所は、専ら低層階の構造(現在の建築技術では鉄骨鉄筋コンクリート造=
 SRC造等減価度合が小さい構造)に着目して経年減点補正率を定める低層階方
 式は、各構造ごとの構造耐力に応じた各構造の損傷、損耗等による価値減少を、
 減価補正の程度に可能な限り反映するものとはいえず、経年減点補正率に係る評
 価基準の定めの内容、趣旨に沿ったものとはいえない。家屋1の棟1及び家屋2
 に適用する経年減点補正率の求め方について低層階方式を選択したことは、大阪
 市内における評価の統一性の要請からみて不合理であるといわざるを得ない。
  などと判断し、原告が主張する床面積方式(減価度合が大きい鉄骨造=S造)
 を認容しました。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z999-8454

TAINSメールニュース No.599 2022.12.08 発行(社)日税連税法データベース

2022年12月08日

【1】今週のお知らせ
(1)システムメンテナンスのお知らせ
  下記の日程でシステムメンテナンスを行うため、作業時間帯においてログイン
 できない等動作が不安定になる場合がございます。会員の皆様にはご不便をおか
 けいたしますが、下記メンテナンス時間帯のご利用を控えていただくようにお願
 い申し上げます。
  何卒ご理解の程宜しくお願い申し上げます。
  日時:2022年12月8日(木) 午後10:00 ~ 午後11:00
  ※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
                       (システム部長:小林 英樹)
 
(2)収録した判決の一部を紹介します。
 【地方税】
 ・R04-03-25 大阪地裁 認容、控訴、納税者勝訴
                            Z999-8454
  固定資産税等/複合構造家屋における経年減点補正率の選択/低層階方式の合
 理性
 
 【その他】
 ・H30-10-26 名古屋高裁 控訴棄却、上告受理申立て
                            Z999-5436
  自筆証書遺言の効力/遺言書の日付が真実遺言が成立した日と相違している場
 合
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  重加算税/税理士事務所の職員を利用した隠ぺい仮装行為/司法書士業
 (令01-10-24 非公開裁決 棄却 F0-1-1211)
 
  請求人は、所得税及び消費税等について、原処分庁から総勘定元帳の売上金額
 の減額による隠ぺい仮装行為があったとして重加算税の賦課決定処分を受けまし
 た。本件は、請求人が、隠ぺい仮装行為は税理士事務所職員の乙が行ったもので
 あり、請求人が行ったものではないとして、原処分の取消しを求めた事案です。
  審判所は、請求人及び乙の答述の信用性を検討した上で、請求を棄却しました。
 
  税理士事務所職員乙は、請求人の指示による売上金額の減額行為が平成14年
 頃からされており、毎年の注意にもかかわらず、請求人が一向に是正しなかった
 ため、当該行為の責任は請求人にあることを説明してきたという経緯を答述する。
 乙は、かかる経緯があった中で、本件各申告の際も、乙の方から、責任の所在が
 請求人にあることを明示した上で所得金額を減額する記載を追加する方法を示し
 たという答述内容は、自然かつ合理的である。これに対し、請求人の答述は具体
 性に欠ける上、不自然かつ不合理である。
  請求人は、乙に対し、納付すべき税額を減額するために、真実は売上金額を減
 額する事実がないにもかかわらず、総所得金額を前年並みに減らすことを要望し、
 総勘定元帳に虚偽の記載をする方法により過少申告することを依頼したことが認
 められる。請求人は、乙をして隠ぺい仮装行為をさせることによって自らの意図
 を実現したものと認められるから、通則法68条1項に該当する。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-1-1211

TAINSメールニュース No.598 2022.12.01 発行(社)日税連税法データベース

2022年12月01日

【1】今週のお知らせ
 収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【法人税】
 ・R03-09-30 東京高裁 棄却・上告及び上告受理申立て
                            Z888-2429
  特定民間国外債利子の非課税/利子受領者確認書の期限後提出/政令委任の範
 囲
 ・R04-03-10 東京高裁 原判決取消し・却下・上告受理申立て
                      納税者勝訴 Z888-2445
  タックスヘイブン対策税制/SPCを用いた資金調達スキーム/租税回避
 ・R03-10-01 裁決 棄却 F0-2-1035
  外国子会社合算税制/オランダの親会社で合算課税された孫会社の所得
 
 【所得税】
 ・R04-10-31 東京高裁 棄却 Z888-2450
  更正の請求/商品先物取引に係る訴訟上の和解/権利関係変動の有無
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  取得条項付株式の評価~外国子会社合算税制の適用における課税対象金額~
 (令04-01-20 非公開裁決 全部取消し F0-1-1322)
 
  本件は、請求人が、外国子会社合算税制を適用して雑所得の金額を計算し、所
 得税等の確定申告をしたところ、原処分庁から、特定外国子会社等であるA社が
 行った発行法人B社への株式譲渡の対価の額が適正な価額に比して低額であると
 して、所得税等の更正処分等を受けた事案です。主な争点は、この譲渡差額を含
 めてA社の課税対象金額に相当する金額を計算すべきか否かです。
  原処分庁の主張する1株当たりの価額は、審判所の試算値の約8倍に相当する
 価額であり、審判所は、次のとおり判断して、原処分の全部を取り消しました。
 
  本件定款に定められた算定式に基づく譲渡対価の額と本件試算値との開差は、
 さほど大きなものではない。また、B社の普通株式に財産評価基本通達の定める
 類似業種比準方式の採用には合理性があるから、譲渡時における1株当たりの時
 価が本件試算値を上回るとは認め難く、一方で、取得条項付の議決権に制約のあ
 る株式の時価については、確立された評価方法があるわけではなく、制約や現金
 による取得条項が、普通株式の時価との関係で減価要因となるとの見解もある。
  結局、適正な価額は、本件譲渡対価の額を上回るとは認められないことになる。
 したがって、本件譲渡対価は、適正な価額に比して低額であるとはいえず、本件
 譲渡差額を含めてA社の課税対象金額を計算すべきとは認められない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-1-1322

TAINSメールニュース No.597 2022.11.24 発行(社)日税連税法データベース

2022年11月24日

【1】今週のお知らせ
 TAINS研修サイトの更新について
  研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
 NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
  ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
 デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
 視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
 とができます。
  同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
 して受講・登録ができます。
         記
  【移転価格税制】独立企業間価格算定における残余利益の分割方法の適否
                    ~日本ガイシ事件~
     講 師:税理士 筏井陽子
                         (事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  譲渡資産の課税価格の計算の基礎に算入された価額~取得費加算額の計算~
 (令04-03-24 東京高裁 棄却・確定 Z888-2420)
 
  控訴人らが、相続により取得した本件各土地に借地権を設定し、その対価とし
 て受領した権利金に係る所得を分離課税の長期譲渡所得の金額に計上して所得税
 の確定申告をしたところ、江東西税務署長から、措置法39条1項(平成30年
 改正前)の適用により取得費の額に加算される相続税額(取得費加算額)の計算
 に誤りがあるとして、更正処分等を受けた事案です。
  取得費に加算する相続税額は、本件各土地に対応する金額か、土地の相続税評
 価額(貸家建付地)に借地権割合(90%)を乗じた金額かが争点となりました
 が、控訴人らは、措置令25条の16第1項2号「当該譲渡をした資産の当該課
 税価格の計算の基礎に算入された価額」の文言が、課税要件明確主義に反するこ
 とを示している旨主張しました。しかし、東京高裁においても第一審(Z888
 -2409)の判断を引用する等して、控訴を棄却し確定しました。
 
  措置法39条1項の趣旨や改正の経緯等に照らすと、本件規定の「当該譲渡を
 した資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」とは、相続税の課税価
 格の計算の基礎に算入された価額のうち、当該譲渡をした相続財産に対応する部
 分の価額を意味することは、一義的で明確であり、控訴人らが課税処分を検討す
 る過程で、更正処分と異なる見解を示したからといって、そのことをもって本件
 規定の文言が課税要件明確主義に反するということはできない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2420