TAINSメールニュース No.396 2019.1.17 発行(社)日税連税法データベース

2019年01月17日

【1】今週のお知らせ
 収録した裁決の一部を紹介します。
 
 【所得税】
 ・S63-09-16 裁決 一部取消し F0-1-862
  弁護士業の収入金額及び必要経費/海外研修費等
 ・H01-03-31 裁決 一部取消し F0-1-873
  土木工事業及び運送業の事業所得
 
 【法人税】
 ・H29-09-12 裁決 棄却 F0-2-785
  重加算税/交際費/役員の個人的費消
 ・H29-12-26 裁決 棄却 F0-2-792
  重加算税/益金の額/建物解体工事等で発生した鉄くず等の計上漏れ
  
 【消費税】
 ・H29-12-06 裁決 棄却 F0-5-210
  課税仕入れの時期/前払金/課税期間内に未完成の工事代金
 ・H29-08-21 裁決 棄却 F0-5-214
  課税仕入れの時期/建物等の譲渡の場合
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
  損金算入時期/太陽光発電設備とそれを囲むフェンス・門扉等の減価償却費
 (平30-06-19 公表裁決 一部取消し J111-3-12)
 
  本件は、請求人が、太陽光発電設備とそれを囲むフェンス・門扉等を、取得を
 した事業年度(平成28年3月期)において減価償却費の額を損金の額に算入し
 て申告をしたところ、原処分庁が、これら資産は一体で取得したのであり、平成
 28年3月期には事業の用に供していないとして更正処分等を行った事案です。
  審判所は、太陽光発電設備については、翌事業年度に系統連系のための工事が
 完了しているため、平成28年3月期に事業の用に供したとは認められないとし
 ましたが、フェンス等については納税者の主張を認める判断をしています。
 
  本件発電システム本体とフェンス等は、物理的にも機能的にも一体とはいえな
 いから、別個の減価償却資産であると認められる。
  請求人は、フェンス等の引渡日から系統連系が行われて売電を開始するまでの
 間も、発電システム本体への接触による感電等の事故、発電システム本体の盗難
 や毀損を避ける必要性があり、実際に本件フェンス等はその目的に沿った機能を
 発揮していたと認められる。
  以上によれば、本件フェンス等は、引渡日から、その属性に従ってその本来の
 目的のために使用を開始されたと認めるのが相当であり、請求人は、本件フェン
 ス等を平成28年3月期に事業の用に供したと認められる。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 J111-3-12

TAINSメールニュース No.395 2019.1.10 発行(社)日税連税法データベース

2019年01月10日

【1】今週のお知らせ
 公表裁決事例の収録を完了しました。
  国税不服審判所のホームページに掲載された、平成30年4月から6月分の公
 表裁決事例の収録を完了しました。一部を下記に紹介します。
 
 【法人税】
 ・J111-1-02 H30-05-31公表裁決 一部取消し
  重加算税 隠ぺい、仮装の認定 認めなかった事例
 ・J111-3-10 H30-04-13公表裁決 全部取消し
  収益の帰属事業年度 役務提供による収益 その他の役務提供による収入
 
 【消費税】
 ・J111-5-15 H30-06-05公表裁決 棄却、却下
  免税取引 輸出免税
 ・J111-5-16 H30-04-25公表裁決 棄却
  仕入税額控除 課税仕入れ等の経費区分
 
 【他国税】
 ・J111-6-18 H30-05-29公表裁決 一部取消し
  第二次納税義務 その他
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 ★裁決事例集111集……→18件
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  市街化調整区域内にある宅地及び雑種地の評価~鑑定評価の合理性~
 (平30-03-13 東京地裁 棄却 Z888-2202)
 
  この事案では、工場用地等として同族会社に賃貸している宅地及び雑種地の価
 額について、原告主張の不動産鑑定士が作成したC鑑定評価書の鑑定評価額によ
 るべきか、被告主張の財産評価基本通達の評価額によるべきかが争われました。
  裁判所では、財産評価基本通達の合理性を認めた上で、次のとおり、C鑑定評
 価書の問題点を指摘し、鑑定評価額が時価であるとか、鑑定評価額をもって特別
 の事情があると認めることはできないとして、原告の請求を棄却しました。
 
  C鑑定評価書では、地価公示価格等による規準価格は適用しないとされている
 が、宅地の近隣には、主な用途を工業地とする基準地Dが存在しており、C鑑定
 評価書における説明は了解し難い(Dの基準地価格は2万4600円/平米とさ
 れており、取引事例1ないし4における価額はこれと比べて著しく低廉である)。
  原告らは、宅地は5000平米を超える超広大地であり、規準とすることがで
 きる標準地がないとも主張するが、上記基準地の地積は2351平米であるのに
 対し、取引事例1ないし4の地積は500平米ないし1191平米であり、取引
 事例1ないし4の方が参照するのに適切であると認めることはできない。
  また、取引事例1は、競売によるものであること、雑種地の適切な取引事例と
 して参照された事例の1件は、売り急ぎの事例であることが認められるが、事情
 補正はされておらず、この点について合理的な説明もされていない。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2202

TAINSメールニュース No.394 2018.12.27 発行(社)日税連税法データベース

2018年12月27日

【1】今週のお知らせ
(1)メールニュース次回の配信は、来年1月10日(木)
来週の木曜日1月3日はメールニュースはお休みです。次回の配信は、来年の
1月10日となります。

(2)公表裁決事例を収録中です。
先週に引き続き、国税不服審判所のホームページに掲載された公表裁決事例の
収録作業を行っております。収録した事例の一部を下記に紹介します。

【相続税】
・J111-1-01 H30-06-22公表裁決 棄却
更正の請求 請求手続

【所得税】
・J111-2-05 H30-05-07公表裁決 全部取消し
源泉徴収 給与所得の源泉徴収、支払金額の存否(役員) 支給事実が認めら
れないとした事例
・J111-2-06 H30-06-08公表裁決 棄却
推計の必要性 推計の必要性を認めた事例

収録済みの事例は、下記キーワードで検索することができます。
≪検索方法≫ 【キーワード】 ★裁決事例集111集
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
課税仕入れの時期/建物等の譲受けの場合の通達但書き(契約基準)の適用
(平29-08-21 非公開裁決 棄却 F0-5-208)

請求人が消費税基本通達9-1-13のただし書の契約効力発生の日を資産の
譲渡の時期として控除対象仕入税額を計算して還付申告を行ったところ、原処分
庁から引渡基準によるべきとして更正処分等を受けた事案です。
審判所は、次のとおり、請求人の請求を棄却しました。

租税負担の減少のみを目的とし、他に合理的な理由が存在しないにもかかわら
ず、形式的かつ画一的に本件通達規定ただし書を適用することにより租税負担を
減少させた場合には、租税負担の公平を著しく害する特段の事情がある場合に当
たり、本件通達規定ただし書を適用しないものとするのが相当である。
請求人は、21日間と短期間の本件課税期間において不動産賃貸業を行わずに
金地金取引のみを行うことにより、課税売上割合を100パーセントにし、支払
対価に係る消費税等の大部分の還付を求める確定申告をしている。
請求人は、A社(請求人の税務代理人税理士が代表社員)から新設分割した法
人であり、A社の設立以後の一連の経過は、請求人について、支払対価に係る消
費税額等の額の大部分の還付を受けるために、計画的に行われたものと認められ
る。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-5-208

TAINSメールニュース No.393 2018.12.20 発行(社)日税連税法データベース

2018年12月20日

【1】今週のお知らせ
(1)収録した裁決を紹介します。
 
 【所得税】
 ・H01-08-31 裁決 一部取消し F0-1-867
  青色取消し/推計課税/二輪自動車販売業
 
 【法人税】
 ・S63-09-16 裁決 一部取消し、棄却 F0-2-786
  損金の額/飲食店運営のアドバイス及び従業員指導料
 
 【消費税】
 ・H29-11-15 裁決 却下 F0-5-216
  分割納付中の還付金等の充当処分
 
(2)公表裁決事例を収録中です。
  国税不服審判所のホームページに、平成30年4月から6月分の裁決事例18
 件が公表されました。
    http://www.kfs.go.jp/service/JP/idx/111.html
  現在、編集・収録作業を行っております。
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  マンション共用部分等の賃貸による収益の帰属/管理組合か区分所有者か
 (平30-03-13 東京地裁 棄却 Z888-2200)
 
  本件は、マンションの管理組合である原告が、マンションの共用部分及び敷地
 の各一部を、電気通信施設及び電柱等の設置のため賃貸し、その収益に係る法人
 税等について、原告には当該収益に係る所得が生じていないとして、更正の請求
 をしたところ、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けた事案です。原告は、
 原告が民法上の組合であり、本件賃貸は区分所有者の収益事業である旨主張しま
 したが、東京地裁は、賃貸収入は原告に帰属するとして次のように判示しました。
 
  原告は、権利能力のない社団であり、法人税法上の人格のない社団等に当たる。
 本件賃貸借契約は、原告の理事長が、原告の名において締結したものであり、原
 告の総会決議によりその締結が承認されていること等が認められる。以上の事情
 を総合すれば、本件賃貸は、権利能力のない社団である原告が団体として行う活
 動としての実質を有するものといえるから、法人税法上、原告が不動産貸付業と
 いう収益事業を行っていると認めるのが相当であり、このように原告が主体とな
 って行われた収益事業から生じた収益である賃貸収入は、それが原告の構成員か
 ら分離されて、原告の団体としての活動目的に沿うよう管理・保管されているこ
 とも勘案すれば、原告の所得を構成するというべきである。したがって、原告は、
 本件賃貸収入による所得について、法人税を納付する義務を負うこととなる。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2200

TAINSメールニュース No.392 2018.12.13 発行(社)日税連税法データベース

2018年12月13日

【1】今週のお知らせ
(1)12月17日(月)事務局・編集室の電話対応の時間短縮について
  12月17日(月)の事務局・編集室の電話対応につきまして、誠に勝手なが
 ら正午で終了させていただきます。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解・ご協力いただきたく何
 卒よろしくお願い申し上げます。
                         (総務部長:福島 利夫)
 
(2)収録した裁決の一部を紹介します。
 
 【所得税】
 ・H01-12-14 裁決 一部取消し F0-1-864
  所得の帰属/妻名義の有価証券譲渡
 
 【法人税】
 ・S63-10-12 裁決 一部取消し・棄却 F0-2-788
  架空人件費/学生アルバイトに支払った賃金
 
 【消費税】
 ・H29-08-21 裁決 棄却 F0-5-208
  課税仕入れの時期/建物等の譲受けの場合
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  住宅借入金等特別控除~措置法第41条第5項に規定する特定取得の意義~
 (平29-10-11 非公開裁決 棄却 F0-1-878)
 
  本件は、請求人が、平成26年6月17日に取得した居住用の既存住宅に係る
 借入金について、措置法第41条第5項の規定に基づき住宅借入金等特別控除の
 計算を借入限度額4,000万円として平成26年分・平成27年分の所得税等
 の確定申告をしたところ、原処分庁が、本件取得が特定取得に該当しないため借
 入限度額は2,000万円であるなどとして各更正処分をした事案です。審判所
 は、制度の趣旨及び特定取得に関する改正の経緯から次のとおり判断しました。
 
  特定取得とは、(1)居住用家屋の新築若しくは既存住宅の取得に係る対価の
 額又は(2)増改築等に係る費用の額に含まれる消費税額等の合計額が、新消費
 税率により課されるべき消費税額等の合計額に相当する額である場合における住
 宅の取得等であると解するのが相当である。
  請求人は個人間の売買により消費税等の負担なく取得しているから、本件取得
 は、新消費税率による場合に当たらず、特定取得に該当しない。
  本件仲介手数料は、取得に係る費用であると認められるから、それに含まれる
 消費税額等の合計額が、新消費税率による消費税額等の合計額に相当する額であ
 ることは、本件取得が特定取得に該当しないという上記認定を左右しない。
  したがって、住宅借入金等特別控除額の計算上、措置法第41条第2項に規定
 する借入限度額は2,000万円となる。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-878

TAINSメールニュース No.391 2018.12.6 発行(社)日税連税法データベース

2018年12月06日

【1】今週のお知らせ
収録した裁決・判決を紹介します。
 
【所得税】
・H29-10-31 裁決 F0-1-880
収入すべき時期/借上公共賃貸住宅の用途廃止に伴い公社から受領した金員
・H29-12-01 裁決 F0-1-882
住宅借入金等特別控除/引き続き居住の用に供している場合
 
【法人税】
・H29-10-12 東京地裁 Z888-2176
留保金課税/匿名組合契約に基づく分配金/債権を譲り受けた後の免責的債務
引受け
・H01-10-30 裁決 F0-2-793
交際費等/外国の仲介人を通して関係者に支払われたコミッション
 
【消費税】
・H29-06-23 裁決 F0-5-207
課税取引/資産の譲渡/割賦払いによる資産の取得
・H29-08-21 裁決 F0-5-209
課税仕入れの時期/建物等の譲受けの場合
         (税法データベース事務局)
────────────────────
【2】今週の判決等(税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
未使用設備の償却費が損金不算入額となった場合の翌事業年度の認容額は
(平30-03-27 公表裁決 棄却 J110-3-12)

 請求人が、太陽光発電設備を取得した事業年度において、同設備に係る償却費の額を損金算入して確定申告をした後、同設備を当該事業年度内に事業の用に供していなかったことから当該償却費の額を償却超過額として修正申告するとともに、当該事業年度の翌事業年度に同設備を事業の用に供したことから、当該翌事業年度に同設備に係る償却費の額を損金の額に算入すべきであるとして更正の請求をしました。これに対して原処分庁が、同設備を事業の用に供した当該翌事業年度において償却費の損金経理額はないとして更正をすべき理由がない旨の通知
処分をしたので、請求人が、当該翌事業年度において、前期から繰り越した償却超過額の認容額として損金の額に算入すべきであると主張した事案です。

 審判所は次のように判断して、請求人の主張を棄却しました。
 
 同設備は当該事業年度終了時においては事業の用に供されていないから、法人税法上の減価償却資産に該当しない。そして、当該事業年度において償却費として損金経理をしていたとしても、それは法人税法上の減価償却資産に該当しない資産に係るものであって、法人税法第31条第1項に規定する償却費として損金経理をした金額に該当せず、また、償却超過額にも当たらない。そうすると、請求人が当該事業年度に償却超過額とした金額は、当該翌事業年度において、同条第4項に規定する償却超過額には該当せず、当該翌事業年度の損金経理額に含まれないから、当該翌事業年度の損金の額に算入することはできない。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 J110-3-12

TAINSメールニュース No.390 2018.11.29 発行(社)日税連税法データベース

2018年11月29日

【1】今週のお知らせ
(1)メールニュースの送信元アドレスが変更になります。
  新システム「TAINS6」リリースに伴い、次週12月6日(木)発行のメ
 ールニュースから、送信元のアドレスが下記アドレスに変更になります。
  迷惑メール対策などの受信設定をされている方は、メールが正しく届かない場
 合がございますので、下記アドレスが受信できるよう設定をお願いいたします。
 
          tains-mailnews@tains.or.jp
                        (税法データベース事務局)
-------------------------------------
(2)収録した裁決・判決を紹介します。
 
 【所得税】
 ・H29-10-31 裁決 棄却 F0-1-881
  不納付加算税の正当な理由/源泉所得税等の法定納期限後の納付
 
 【法人税】
 ・H30-01-16 東京地裁 却下・棄却、控訴 Z888-2187
  留保金課税/課税当局の誤指導が判明したことにより増加した留保所得金額
 
 【相続税】
 ・H29-08-22 裁決 棄却 F0-3-585
  土地の評価/鑑定評価の合理性        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
  類似業種比準方式/クレーン車売却益の「非経常的な利益の金額」該当性
 (平29-11-20 非公開裁決 棄却 F0-3-583
 
  本件は、取引相場のない株式の評価に当たり、株式の発行会社が行ったクレー
 ン車の売却に係る売却益が、類似業種比準価額により評価するときの「評価会社
 の1株当たりの利益金額」の計算上、法人税の課税所得金額から除くべき非経常
 的な利益の金額に含まれるか否かが争点となった事例です。
  審判所は次のとおり判断して、請求人の請求を棄却しました。
 
  評価通達183の(2)に定める1株当たりの利益金額の計算上、ある利益が
 非経常的な利益の金額に該当するか否かの判断は、評価会社の事業の内容、その
 利益の発生原因、その発生原因たる行為の反復継続性又は臨時偶発性等を考慮し
 て判断すべきものであるから、評価会社が本件売却益を固定資産売却益として損
 益計算書の特別利益に計上していることのみをもって、非経常的な利益の金額に
 該当すると判断することは相当ではない。
  評価会社は、クレーン車の売却を評価会社の経常的な事業である本件クレーン
 事業の一環として行っており、直前各3事業年度において、毎期、一定の保有台
 数を超えるクレーン車を繰り返し売却し、その売却台数も年々増加させていたこ
 とを考慮すれば、クレーン車の売却は反復継続的に行われていたと評価するのが
 相当である。したがって、本件売却益は、非経常的な利益の金額に該当しない。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-3-583

TAINSメールニュース No.387 2018.11.22 発行(社)日税連税法データベース

2018年11月22日

【1】今週のお知らせ
(1)12月17日(月)事務局・編集室の電話対応の時間短縮について
  12月17日(月)の事務局・編集室の電話対応につきまして、誠に勝手なが
 ら正午で終了させていただきます。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解・ご協力いただきたく何
 卒よろしくお願い申し上げます。
                         (総務部長:福島 利夫)
 
(2)収録した裁決を紹介します。
 
 【所得税】
 ・H29-10-31 裁決 棄却 F0-1-879
  収入すべき時期/借上公共賃貸住宅の用途廃止に伴い公社から受領した金員
 
 【法人税】
 ・S63-10-25 裁決 一部取消し F0-2-780
  損金の額/修繕費/CS工法による断熱防水工事
 
 【相続税】
 ・H29-08-28 裁決 棄却 F0-3-560
  貸付金債権の評価/社会貢献等を目的とする協同組合に対する貸付金の回収可
  能性
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
  必要経費該当性/LPガス等の燃料小売業者が同族会社へ支払った業務委託費
 (平30-04-19 大阪地裁 棄却・控訴 Z888-2201)
 
  本件は、Aの屋号でLPガス等の燃料小売業を営む原告が、平成22年分から
 平成24年分までの所得税の確定申告において、原告が代表者を務めるB社にA
 の業務であるLPガス等の配達、販売等を委託したとして、その外注費を事業所
 得の金額の計算上必要経費に算入したところ、兵庫税務署長から更正処分(所得
 税法157条1項の規定を適用)を受けた事案です。
  大阪地裁は、下記のように本件外注費は必要経費に該当しないため、同族会社
 の行為計算否認の対象になるかについては、判断する必要はないとしました。
 
  原告は、自己の個人事業に係る業務全般を、自己の保有する設備、車両等や資
 格を用いて、日常的に、自己の経験と判断に基づき、自己の労力及び経費負担を
 もって遂行していたものというべきであり、原告による本件委託業務の遂行の実
 質は、B社による役務の提供や労働力の提供といったものではなく、原告が自ら
 Aの事業主として主体的にその業務を遂行していたものというほかはない。
  原告が自らAの事業主としてその業務を遂行する一方で、本来支払う必要のな
 い事業主自身の労働の対価(報酬)を、「外注配達費」という名目で外注費とし
 てB社に支払っていたものといわざるを得ず、本件外注費は、原告の事業所得に
 係る必要経費には該当しないというべきである。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2201

TAINSメールニュース No.384 2018.11.15 発行(社)日税連税法データベース

2018年11月15日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
  TAINSだより2018秋号(新システム特集号)を掲載いたしました。下
 記の会員専用ページから閲覧できます。      (事業部長:蓮間 好一)
 https://gw.tains.org/doclibrary/docs?title_id=1&state=CATEGORY&cat=101
 
(2)収録した裁決を収録します。
 
 【所得税】
 ・H29-12-19 裁決 棄却 F0-1-870
  無申告加算税の正当な理由/税務署の混雑による体調不良のおそれ
 
 【法人税】
 ・H29-09-12 裁決 棄却 F0-2-784
  調査の違法と重加算税/交際費として計上された代表者個人の飲食代金
 
 【相続税】
 ・H27-12-03 裁決 棄却 F0-3-561
  貸付金債権の評価/評価通達205に定める「回収が不可能又は著しく困難」
  該当性
                        (税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  相続分の無償譲渡~遺留分算定の基礎となる「贈与」に当たると判断~
 (平30-10-19 最高裁 破棄差戻し Z999-5399)
 
  上告人及び被上告人の母A(亡Bの妻)は、生前、亡Bの遺産分割調停手続に
 おいて、被上告人に相続分の無償譲渡(本件相続分譲渡)をしました。本件は、
 上告人が、被上告人に対し、遺留分減殺を原因とする不動産の持分移転登記手続
 等を求める事案ですが、本件相続分譲渡が、母Aの相続において、その価額を遺
 留分算定の基礎となる財産額に算入すべき贈与(民法1044条、903条1項)
 に当たるか否かが争われました。最高裁では、次のとおり判断し、原判決を破棄
 し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻しました。
 
  共同相続人間で相続分の譲渡がされたときは、積極財産と消極財産とを包括し
 た遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転し、相続分の譲渡に伴
 って個々の相続財産についての共有持分の移転も生ずるものと解される。
  したがって、共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は、譲渡に
 係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相
 続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、譲渡をした者の相続において、
 民法903条(特別受益者の相続分)1項に規定する「贈与」に当たる。
  以上と異なる見解に基づき、本件相続分譲渡はその価額を遺留分算定の基礎と
 なる財産額に算入すべき贈与に当たらないとして上告人の請求を棄却すべきもの
 とした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z999-5399

TAINSメールニュース No.383 2018.11.8 発行(社)日税連税法データベース

2018年11月08日

【1】今週のお知らせ
  収録した裁決・判決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・H30-04-19 大阪地裁 Z888-2201
  必要経費該当性/LPガス等の燃料小売業者が同族会社へ支払った業務委託費
 ・H29-10-06 裁決 F0-1-877
  収入すべき時期/馬主が受ける競走馬の賞金
 
 【法人税】
 ・H30-03-13 東京地裁 Z888-2200
  収益の帰属/管理組合か区分所有者か/マンション共用部分及び敷地を賃貸し
  た収益
 ・H29-09-07 裁決 F0-2-782
  タックスヘイブン対策税制/管理支配基準/香港の会社法による書面決議
 ・H29-09-12 裁決 F0-2-783
  重加算税/交際費/代表取締役の個人的費消
 
 【相続税】
 ・H29-10-02 裁決 F0-3-591
  無申告加算税/「正当な理由」の有無/株式の贈与事実について係争中の場合
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  居住者該当性(生活の本拠)/非永住者期間の起算日
 (平29-12-26 非公開裁決 棄却 F0-1-871)
 
  本件は、原処分庁が、平成23年分ないし平成26年分の所得税等について、
 請求人が所得税法上の居住者に該当することを前提に決定処分等を行ったのに対
 し、請求人がその取消しを求めた事案です。審判所は次のように判断しました。
 
  請求人は、年の約8割に相当する日数を日本国内で滞在していたこと、4年間
 の任期で大学の学長職に就任し、その後任期を延長して離任するまでの間、継続
 して学長職に在任していたこと、当初はA国大学の教授職を兼任していたが、半
 年後には同大学を退職したこと、A国に住居を残したまま日本に入国したものの、
 以後、日本国内に滞在中は、大学の宿舎に、取得したマンションにそれぞれ居住
 していたこと、住民票上の住所は、宿舎及びマンションの所在地にそれぞれ登録
 されていたことが認められる。以上によれば、請求人の生活の本拠は、日本国内
 にあったと認めるのが相当であり、居住者に該当すると認められる。
 
  請求人は、あらかじめ用意されていた宿舎に平成21年3月26日の入国と同
 時に若しくはその直後に入居したと認められるから、請求人が国内に居所を有す
 ることとなった日を入国の日とし、その翌日を起算日として請求人の所得税法上
 の非永住者に該当する期間を計算するのが相当である。そうすると、請求人は、
 各年分のうち、平成26年3月26日までの期間については非永住者に該当する
 が、同月27日以降については、非永住者以外の居住者に該当すると認められる。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-871