TAINSメールニュース No.433 2019.10.17 発行(社)日税連税法データベース

2019年10月17日

【1】今週のお知らせ
TAINSにはこんな資料が収録されています!〔行政文書の紹介1〕

TAINSには、非公表の事務運営指針(通達)や税務職員用の研修資料・FAQなどが
収録されています。これらは、主にTAINSが独自に情報公開法に基づき行政庁へ
の開示請求で収集した資料です。
今回は、国税庁調査課・東京国税局調査審理課作成の「法人税及び消費税等の処
理における誤り易い事例とそのチェックポイント(平成30年9月)」をご紹介
します。
——〔目 次 の 一 部〕——
第1章 法人税及び消費税等の誤り易い事例と検討の仕方
I 法人税確定申告書・連結確定申告書
〈1〉申告書別表1(1)各事業年度の所得に係る申告書

IV 消費税及び地方消費税の確定申告書

第2章 勘定科目内訳明細書等のチェックポイント
第3章 主要項目改正経過等の一覧表

第5章 申告審理(別表)に係る留意点
I  消費税申告書
II 法人税申告書
1 別表1(1)・・・

———————————-
この文書は、300頁近くのボリュームがあります。
第1章(約160頁)では、課税庁内部で作成された「決議書」の具体的記載事
例とその検討内容が列挙されています。
例えば、誤り事例「売掛債権等に該当しない債権の額(仕入割戻しの未収金、
預け金……)を売掛債権等の額に含めているもの」に対しては、検討の仕方とし
て「『期末残高18』欄の金額について、貸借対照表の計上額と貸金又は売掛債権
等の明細書の金額を整合して、売掛債権等に該当しない債権の額が含まれていな
いか確認する。」と記載されています。
他に、改正項目の適用時期一覧(第3章)も実務に役立ちます。
全文は、TAINSコード「法人消費事例東京局300900」でご確認ください。
(佐藤 善恵)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
建物の取得価額~売買契約書に記載の消費税額等から算出することの可否~
(平30-09-11 非公開裁決 棄却 F0-2-858)

不動産賃貸業を営む請求人が、土地とともに一括取得した中古の区分所有建物
について、売買契約において定められた建物価額を減価償却資産の取得価額とし、
かつ、課税仕入れに係る支払対価の額として法人税等の申告をしたところ、原処
分庁が、当該土地及び建物の取得価額の算出は「固定資産税評価額比按分法」に
よるのが合理的であるとして、法人税等の更正処分等を行いました。
これに対し、請求人が、当該売買契約において定められた建物価額は合理的か
つ経済的な妥当性のある金額であり(土地と建物の価額割合は1:9)、「固定
資産税評価額比按分法」によると、本件土地は区分所有建物の一部である本件建
物の敷地であり、請求人以外の区分所有者の借地権が設定されている土地である
にもかかわらず、更地価額を基に按分することは相当ではないと主張して争った
事案です。審判所は次のように判断し、請求人の主張を退けました。

本件建物売買価額は、基本的には本件売買契約で合意があった建物の取得価額
とすることになるが、その客観的な価値と比較して著しく不合理なものであると
認められるから、合理性のある算出方法である固定資産税評価額比按分法により、
本件土地及び建物それぞれの取得価額を算出すべきである。
したがって、本件建物の取得価額は原処分庁認定額と同額となり、本件法人税
各更正処分は適法である。

≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-2-858

TAINSメールニュース No.432 2019.10.10 発行(社)日税連税法データベース

2019年10月10日

【1】今週のお知らせ
公表裁決事例を収録中です。
国税不服審判所のホームページに、平成31年1月から3月分の裁決事例
11件が公表されました。現在、編集・収録作業を行っております。

収録したものの一部を下記に紹介します。
【所得税】
・J114-2-04 H31-03-28 公表裁決 棄却
事業所得 収入すべき時期 その他
・J114-2-05 H31-03-25 公表裁決 棄却
非居住者及び外国法人の納税義務 国内源泉所得
【法人税】
・J114-3-07 H31-02-15 公表裁決 一部取消し
特殊な団体の損益 その他
・J114-1-03 H31-02-07 公表裁決 全部取消し
重加算税 隠ぺい、仮装の認定 認めなかった事例
【相続税】
・J114-4-08 H31-02-20 公表裁決 一部取消し
財産の評価 評価の原則 時価の意義

収録が済んでいるものは下記のキーワードで検索できます。
≪検索方法≫ 【キーワード】 ★裁決事例集114集
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
重加算税/輸入商品のネット販売/委託販売に仮装した棚卸資産の仕入販売
(平30-02-06 非公開裁決 棄却 F0-1-894)
本件は、海外の取引先であるAから輸入した商品をインターネット販売する事
業(本件事業)を営む請求人が、本件事業に係る収入等について申告をせず、又
は受託販売として申告したところ、原処分庁が本件ネット販売は顧客に対する通
常の棚卸資産の販売(仕入販売)に該当するとして所得税等の決定処分等をした
事案です。審判所は次のとおり判断して、請求人の請求を棄却しました。

販売委託契約とは、委託者と受託者との間において、委託者が受託者に商品等
を供給し、受託者は、自己の名において第三者との売買等の取引をするが、当該
第三者との取引は委託者の計算においてされ、受託者は委託者から手数料等の報
酬を取得することを合意内容とする契約であると解される。
請求人は、Aから商品が発送された都度間もない時期に請求され、当該請求額
を決済していたところ、当該決済金額は、エクセルデータに記載された商品の価
格に注文数を乗じる等、支払時期、支払額の計算方法、決済方法等のほか、請求
人とAの価格交渉等の状況等の各事実に照らせば、請求人とAとの本件商品に係
る取引は、請求人による本件商品の仕入れとみることが相当であり、Aが自らの
商品を請求人に委託して販売するために提供していたものとは認められない。
請求人は、取引実態とは異なる委託契約書、領収証等を作成するなどし、当該
事業実態を隠匿していたと認められ、請求人の当該一連の行為は、通則法第68
条に規定する隠蔽又は仮装の事実に該当する。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-894

TAINSメールニュース No.431 2019.10.3 発行(社)日税連税法データベース

2019年10月04日

【1】今週のお知らせ
(1)インターネットライブ配信によるTAINS研修会の開催
標記研修会を下記により開催いたしますので、ご案内いたします。
(事業部長:上田 健一)
日  時:令和元年10月18日(金)13:30~15:30
内  容:「役員報酬の諸問題」
講  師:湊義和 住吉真
視聴方法:10月11日までに、件名を「ライブ配信視聴申込み」とし、所属
税理士会、氏名、税理士登録番号及びメールアドレスを入力して、
次のアドレスにメール申込みしてください。
申込先:info@tains.or.jp
視聴URL、受講登録方法等をお知らせいたします。

(2)収録された判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R01-05-29 東京高裁 棄却 Z888-2243
受取配当益金不算入/資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配

・H30-03-20 裁決 一部取消し F0-2-860
移転価格税制/残余利益分割法による基本的利益の計算の適否/比較対象法人
の選定
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等          (税法データベース編集室:草間 典子)
更正の請求/破産会社が過払金返還債権確定により過年度決算を修正する処理
(平30-10-19 大阪高裁 一部取消し Z888-2230)

K社(消費者金融業)の破産管財人が、K社の破産手続において過払金返還請
求権が破産債権者表に記載されることにより破産債権として確定したことが国税
通則法23条1項1号及び同条2項1号に該当するとして更正の請求をしたとこ
ろ、課税庁より更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けた事案です。
原審(平成30年1月15日大阪地裁、Z888-2205)は、前期損益修
正によって処理するのが法人税法22条4項の公正処理基準に従ったものである
として、原告の請求を棄却しましたが、大阪高裁は、K社が行った過年度の決算
を遡及して修正する会計処理は、公正処理基準に合致するとの判断をしています。

本件破産会社の場合は、(1)企業会計基準が全面的に適用されるべき理由は
なく、(2)会社法上も計算書類関係諸規定は適用されない上、(3)過去の確
定決算を修正しても、通常の株式会社の場合のような弊害が生じることもないの
であるから、本件会計処理は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行と矛
盾しないし、(4)控訴人が本件会計処理を行うことは、本件破産手続の目的に
照らして合理的なものというべきであり、法人税法の企図する公平な所得計算と
いう要請に反するものでもないから、本件会計処理は、法人税法上も、公正処理
基準に合致するものとしてこれを是認すべきものと解すべきである。

≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2230

TAINSメールニュース No.430 2019.9.26 発行(社)日税連税法データベース

2019年09月26日

【1】今週のお知らせ
(1)インターネットライブ配信によるTAINS研修会の開催
標記研修会を下記により開催いたしますので、ご案内いたします。
(事業部長:上田 健一)
日  時:令和元年10月18日(金)13:30~15:30
内  容:「役員報酬の諸問題」
講  師:湊義和 住吉真
視聴方法:10月11日までに、件名を「ライブ配信視聴申込み」とし、所属
税理士会、氏名、税理士登録番号及びメールアドレスを入力して、
次のアドレスにメール申込みしてください。
申込先:info@tains.or.jp
視聴URL、受講登録方法等をお知らせいたします。

(2)利用料の変更のご案内
消費税率引き上げに伴い、令和元年10月分から利用料が変更されます。
詳しくは、ホームページのお知らせ欄をご覧ください。
ホームページのURL https://www.tains.org/

(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:依田 孝子)
納税猶予期限の確定事由「譲渡等」該当性~一部転用と共有持分の移転~
(平31-03-27 札幌地裁 棄却 Z888-2249)

この事案では、被相続人から農地(Qら姉妹と共有)を相続し、相続税の納税
猶予を受けていた原告が、その農地の一部を転用(本件転用)し、また、共有持
分の交換(本件交換)をしたことが、措置法が定める納税猶予期限の確定事由で
ある「譲渡等」に該当するか否かが争われました。札幌地裁では、次のとおり、
「譲渡等」に該当するとして、納税猶予期限の全部が確定したと判断しました。

T(原告の長男)は、牛舎等の施設を所有するために、原告が所有する農地3
及び農地4の各一部を無償で利用していることになるから、原告は、Tに対し、
「特例農地等」について、「使用貸借による権利〔中略〕の設定をし」た(措置
法70条の6第1項1号)といえ、本件転用は「譲渡等」に該当する。
本件交換は、農地9に係る原告の共有持分(特例農地等に該当するもの)を原
告からQらに移転する一方、農地1ないし農地8に係るQらの共有持分(特例農
地等に該当しないもの)をQらから原告に移転するものである。そして、一般に、
資産を移転させる行為を(資産の)譲渡というところ、たとえ同時に「特例農地
等」に該当しない農地を取得したとしても、「特例農地等」の所有権を第三者に
移転する行為は、「特例農地等」を減少させるものであって、「特例農地等」の
譲渡に当たると解するのが文理解釈にかなうものであり、本件交換は「譲渡等」
に該当する。

≪検索方法≫【キーワード】 Z888-2249

TAINSメールニュース No.429 2019.9.19 発行(社)日税連税法データベース

2019年09月19日

【1】今週のお知らせ
(1)利用料の変更のご案内
消費税率引き上げに伴い、令和元年10月分から利用料が変更されます。
詳しくは、ホームページのお知らせ欄をご覧ください。
ホームページのURL https://www.tains.org/

(2)収録された裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・H30-06-19 裁決 棄却 F0-1-970
医師の必要経費/ゴルフプレー代等
・H30-03-13 裁決 棄却 F0-1-947
上場株式等の譲渡損失の繰越控除/連年提出要件
【相続税】
・H30-04-16 裁決 棄却 F0-3-618
相続財産の範囲/名義株の帰属/会社設立の発起人に名義借りをしていた株式

(3)次の会議資料を収録しました。
・全国国税不服審判所長会議資料 令和元年5月10日
【TAINSコード】審判所長会議R010510
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
課税仕入れの時期/建物等の譲受けの場合/契約基準(通達ただし書)の適用
(平31-03-14 東京地裁 棄却 Z888-2248)

原告が、建物の支払対価の額について、売買契約締結日が課税仕入れを行った
日であるとして、消費税等の申告をしたところ、課税仕入れを行った日は、建物
の引渡しを受けた日であるとして、更正処分等を受けた事案です。

固定資産の譲渡等については、引渡しという外形的事実があれば、権利が確定
したということができるのであって、基本通達9-1-13は、その趣旨を確認
的に定めたものにすぎない。通達ただし書も、契約においてその効力発生日を資
産の譲渡の日と定めている場合に、効力発生日をもって権利が確定したと認めら
れる事情があるときは、その日を「課税仕入れを行った日」とすることも法30
条1項1号に反しない旨を確認する趣旨のものにすぎないと解される。
売買契約の履行状況についてみると、(1)原告及び売主は、平成25年12
月2日、売買契約を原因とする所有権移転登記を了したこと、(2)原告と管理
会社との間で、同日を契約開始日とする建物賃貸借契約及び管理業務契約が締結
され、原告は同日から賃料の収受を開始したことが、それぞれ認められる。
したがって、建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」は、課税期間に属さ
ない平成25年12月2日であると認められる。

≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2248

TAINSメールニュース No.428 2019.9.12 発行(社)日税連税法データベース

2019年09月12日

【1】今週のお知らせ
(1)サービス停止のお知らせ
  下記の日程でシステムの改修を行うため、作業時間帯はすべての機能のご利用
 ができません。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
 げます。                   (システム部長:水澤 裕)
  日時:2019年9月18日(水) 午前7:00 ~ 午前9:00
 
(2)利用料の変更のご案内
  消費税率引き上げに伴い、令和元年10月分から利用料が変更されます。
  詳しくは、ホームページのお知らせ欄をご覧ください。
  ホームページのURL https://www.tains.org/
 
(3)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・H30-05-14 裁決 棄却 F0-1-937
  重加算税/第三者(記帳代行業者)の仮装行為
 ・H30-02-02 裁決 棄却 F0-1-948
  居住用財産の特別控除/相続により取得した家屋
 【消費税】
 ・H31-03-15 東京地裁 棄却 Z888-2244
  課税仕入れの時期/建物等の譲受けの場合/契約基準(通達ただし書)の適用
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  所得区分/法人から分配される宅地分譲事業に係る利益
 (平30-01-23 東京地裁 一部取消し Z888-2217)
 
  本件は、パチンコ業を営む原告が、不動産会社A社と共に実施した宅地分譲事
 業について、A社から提起された別件訴訟の結果に従い、A社に対して支払った
 損失負担金、弁護士費用及び訴訟費用を事業所得の必要経費に算入して平成21
 年分所得税の申告をしたところ、処分行政庁から、宅地分譲はA社の単独事業で
 あるとして更正処分等を受けた事案です。裁判所は次のように判示しました。
 
  原告とA社とは、A社において宅地等の開発分譲を実施し、損益を両者で折半
 することを合意しており、原告はA社から利益の分配を受けるものと解される。
  原告が、宅地分譲において果たした役割や宅地分譲の意思決定に関わり得る地
 位にあったことに鑑みれば、原告は、本件宅地分譲に関して、実質的にA社と共
 同してその事業を営む者としての地位を有するものと認められる。したがって、
 原告が利益の分配を受けることに係る所得区分は事業所得に当たり、損失負担金
 は事業所得の必要経費になるというべきである。
  しかし、宅地分譲は平成20年6月に完了しており、その時点で債務は成立し
 ているから、損失負担金を平成21年分の事業所得から控除することはできない。
  A社との損失の負担に係る別件訴訟に要した弁護士費用及び訴訟費用は、事業
 所得を生ずべき業務の遂行上必要な費用に当たるというべきである。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2217

TAINSメールニュース No.427 2019.9.5 発行(社)日税連税法データベース

2019年09月05日

【1】今週のお知らせ
(1)サービス停止のお知らせ
  下記の日程でシステムの改修を行うため、作業時間帯はすべての機能のご利用
 ができません。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
 げます。                   (システム部長:水澤 裕)
  日時:2019年9月9日(月) 午前7:00 ~ 午前9:00
 
(2)利用料の変更のご案内
  消費税率引き上げに伴い、令和元年10月分から利用料が変更されます。
  詳しくは、ホームページのお知らせ欄をご覧ください。
  ホームページのURL https://www.tains.org/
 
(3)収録した裁決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・H30-02-06 裁決 棄却 F0-1-894
  重加算税/輸入商品のネット販売
 ・H30-04-23 裁決 棄却 F0-1-939
  所得区分と損益通算/給与所得者が営む自動車等賃貸業務の損失
 【相続税】
 ・H30-03-07 裁決 棄却 F0-3-621
  返還請求権の有無/使用貸借契約に係る不動産の管理維持費用及び固定資産税
  等                     (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  消滅時効の援用~貸金債権と債務者に対する求償権は別個として納税者勝訴
 (平30-09-25 東京地裁 全部取消し 確定 Z888-2235)
 
  原告の父は、原告の連帯保証人から脱退することを条件に、平成12年12月
 28日、関係者間の合意に基づき、金融機関に内入償還として2億円を支払いま
 した。父の死亡により本件貸金債権(2億円の貸金返還請求権)を相続した原告
 の弟が、原告に対し、このうち200万円の支払を求める別件貸金訴訟を横浜地
 裁に提起したところ、原告が消滅時効を援用する旨の意思表示をしました。横浜
 地裁は、平成25年4月、消滅時効が完成していると判断しました。(確定)
  本件は、2億円の経済的利益(一時所得)を享受したとしてされた平成25年
 分の更正処分等の取消しを求める事案ですが、「時効援用の意思表示により、本
 件求償権等が消滅したか否か」について、裁判所は、次のとおり判断しました。
 
  本件貸金債権は、父と原告との間の金銭消費貸借契約によって生じる債権であ
 り、第三者弁済をした者が取得し得る債務者に対する求償権とは発生原因を異に
 する別個の債権であることが明らかである。
  原告が別件貸金訴訟の口頭弁論における消滅時効の援用の意思表示の対象とし
 た債権は、本件貸金債権のみであると認められ、原告が平成25年2月1日に本
 件求償権等について消滅時効を援用する旨の意思表示をした事実は認められない。
 時効援用の意思表示によって求償権等が消滅したものとは認められないから、2
 億円の経済的利益を享受したものとは認められない。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2235

TAINSメールニュース No.426 2019.8.29 発行(社)日税連税法データベース

2019年08月29日

【1】今週のお知らせ
(1)利用料の変更のご案内
  消費税率引き上げに伴い、令和元年10月分から利用料が変更されます。
  詳しくは、ホームページのお知らせ欄をご覧ください。
  ホームページのURL https://www.tains.org/
 
(2)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・H30-07-31 裁決 棄却 F0-1-972
  土地の取得費/市街地価格指数を基に算定することの可否
 ・H30-01-23 東京地裁 一部取消し 確定 Z888-2217
  所得区分/法人から分配される宅地分譲による利益/損失負担金等の必要経費
  性
 【相続税】
 ・H30-04-12 裁決 棄却 F0-3-634
  課税財産・債務控除・重加算税/被相続人が売主である土地売買契約の合意解
  除
 【他国税】
 ・H29-05-25 大阪地裁 棄却 控訴 Z999-7210
 ・H29-11-17 大阪高裁 棄却 上告・上告受理申立て
                            Z999-7211
  第二次納税義務/無償譲渡/「国税の法定納期限の1年前の日以後」の譲渡の
  判断基準                  (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  一括譲渡した場合の土地の概算取得費~建物の買換資産該当性~
 (平31-04-01 非公開裁決 棄却 F0-1-998)
 
  被相続人甲は、賃貸の用に供していた建物の購入価額を基に、不動産所得の減
 価償却費を計算し、当該建物及びその敷地に係る譲渡所得の取得費を算定するな
 どして、平成24年分ないし平成26年分の所得税等の各申告をした後、その納
 付義務を承継した請求人らが平成26年分の不動産所得と分離長期譲渡所得の金
 額に一部誤りがあったとし修正申告をしたところ、原処分庁が、甲は当該建物の
 持分を買換資産とする特定の事業用資産の買換え特例(旧措法37・本件特例)
 の適用を受けていたから、当該持分に係る取得価額は引継価額によるべきである
 として更正処分等をしたのに対し、請求人らは、甲は本件特例の適用を受けてい
 ないとして処分の取消しを求めた事案です。
  審判所は次のように判断し、請求人らの主張を退けました。
 
  納税者が譲渡した年分の確定申告書に本件特例の適用を受けようとする旨を記
 載するなどして申告をした場合には、たとえ本件特例の要件を充足していなかっ
 たとしても、その申告により本件特例の適用を受けて計算された税額は確定し、
 修正申告又は更正により本件特例の適用が認められないことにならない限り、当
 該納税者は本件特例の適用の効果を享受し続けることになる。そのような納税者
 に引継価額(旧措法37の3(1))が適用されないとすれば、同項の趣旨に反
 することになる。本件譲渡所得については本件特例が適用され、課税が繰り延べ
 られており、甲は、本件特例の適用を受けた者に該当し、本件資産は、本件特例
 の適用を受けた者の「買換資産」に該当する。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-998

TAINSメールニュース No.425 2019.8.22 発行(社)日税連税法データベース

2019年08月22日

【1】今週のお知らせ
(1)利用料の変更のご案内
  消費税率引き上げに伴い、令和元年10月分から利用料が変更されます。
  詳しくは、ホームページのお知らせ欄をご覧ください。
  ホームページのURL https://www.tains.org/
 
(2)国税庁で開催された次の会議資料を収録しました。
 
 ・全国国税局調査査察部長会議資料 令和元年5月16・17日
 【TAINSコード】査察部長会議R010516
 ・全国国税局徴収部長会議資料 令和元年5月23日
 【TAINSコード】徴収部長会議R010523
 ・全国国税局課税(第一・第二)部長会議資料 令和元年5月27・28日
 【TAINSコード】課税部長会議R010527
 
  次の検索方法でもまとめて検索することができます。
 ≪検索方法≫【キーワード】☆2019年08月収録分 会議資料   →3件
 
(3)収録した判決の一部を紹介します。
 ・R01-08-09 最高裁 棄却 確定 Z999-5408
  再転相続の熟慮期間/民法916条「…相続の開始があったことを知った時」
  の解釈                   (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
  一般社団法人の非営利型法人/会員制のゴルフ場を経営する一般社団法人
 (平30-03-01 非公開裁決 棄却 F0-2-838)
  本件は、ゴルフ場を経営する一般社団法人である請求人が、非営利型法人に該
 当するか否かが争点となった事例です。審判所は、法人税法2条9号の2の非営
 利型法人とは、同条の規定を受け、法人税法施行令3条1項及び2項では、同条
 1項各号及び2項各号に掲げる要件の全てに該当する一般社団法人とする旨規定
 し、同条1項1号及び2号には、その定款に、剰余金の分配を行わない旨、及び
 解散したときはその残余財産が国又は地方公共団体等に帰属する旨の定めがある
 こと及び同条2項3号では、「その主たる事業として収益事業を行つていないこ
 と」を掲げているとし、次のとおり請求人の請求を棄却しました。
 
  請求人の法人区分の異動届出書に添付された定款には剰余金の分配を行わない
 旨の定め及び解散したときはその残余財産が国又は地方公共団体等に帰属する旨
 の定めがなく、請求人は本件各事業年度において、上記要件を満たしていない。
 また、請求人の主たる事業は、ゴルフ場等を設け、これを用途に応じて他の者に
 利用させる事業であるから、同令5条1項27号に掲げる遊技所業に該当する。
  請求人は、上記定款の定めはしていないが、剰余金の分配を行うことはできず、
 残余財産は国又は地方公共団体等に帰属することになるから、実質的に、非営利
 型法人に該当する旨主張する。しかしながら、請求人が法令に定める要件を満た
 していない以上、請求人の主張は、請求人が非営利型法人に該当しないという判
 断に影響を与えるものではないから、請求人の主張は採用できない。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-2-838

TAINSメールニュース No.424 2019.8.15 発行(社)日税連税法データベース

2019年08月15日

【1】今週のお知らせ
(1)利用料の変更のご案内
  消費税率引き上げに伴い、令和元年10月分から利用料が変更されます。
  詳しくは、ホームページのお知らせ欄をご覧ください。
  ホームページのURL https://www.tains.org/
 
(2)中国税理士会から提供いただいた情報を収録しました。
  税区分【その他】、情報区分【その他文書】、検索ワードは、次のとおりです。
  中国税理士会研究論文集0002 → 1件
 
(3)収録した裁決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・H30-08-28 裁決 棄却 F0-1-975
  日米租税条約に反するか否か/日本における米国年金に対する課税
 ・H30-09-12 裁決 棄却 F0-1-996
  不動産所得の必要経費/図書研修費等及び減価償却費
 【相続税】
 ・H30-02-15 裁決 棄却 F0-3-624
  農地の評価/鑑定評価の合理性・無道路地である広大な市街地農地
 ・H24-11-21 裁決 棄却 F0-3-625
  貸宅地の評価/借地権価額控除方式の合理性/相続開始後に売却した底地
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
  青色取消しと国家賠償/みなし解散の登記による2事業年度連続の期限後申告
 (平30-10-23 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2233)
 
  会社法472条1項では、休眠会社(当該株式会社に関する登記が最後にあっ
 た日から12年を経過したもの)が、一定の要件に該当した場合には、解散した
 ものとみなす旨規定しています。本件では、3月31日を決算日としていた原告
 に対し、上記規定により、平成27年1月20日付けで解散登記がなされました。
  これにより、原告の事業年度は、事業年度開始の日から解散の日(平成27年
 1月20日)までの期間が1事業年度とみなされ、その結果、原告は、2事業年
 度連続して期限後申告となったため、課税庁が、青色取消処分を行った事案です。
  原告は、国に対し、処分の取消しと慰謝料等を求めて訴訟を提起しました。
  裁判所は、青色取消処分について、次のように判断し、請求を棄却しています。
 
  原告の平成27年3月申告書、平成28年3月申告書は、いずれも各年の前年
 の4月1日から当年3月31日を事業年度とするものであるから、原告は、事業
 年度の異なる確定申告書を提出したものであって、適法な確定申告書の提出とは
 認められない。原告が平成27年3月申告書を提出したのは、同年6月1日であ
 り、平成28年3月申告書を提出したのは、同年6月1日であるから、原告は、
 いずれも、期限後に確定申告書を提出したものといえ、これは事務運営指針4の
 「2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合」に該当する。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2233