TAINSメールニュース No.518 2021.04.15 発行(社)日税連税法データベース

2021年04月15日

【1】今週のお知らせ
 会員各位
  平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
 
  2021年4月16日(金)までを予定しておりました当社団職員の新型コロ
 ナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保の対策ですが、現状を鑑み、2021
 年4月30日(金)まで延長させていただくこととなりました。
  引き続き、営業時間を10時から16時までに変更及び交代での在宅勤務を実
 施いたします。
 
  これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
 性がございます。
  問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
 時間を要する場合があることをご了承ください。
  なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
 
  会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
 何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  自筆証書遺言の日付が真実遺言の成立した日と相違する場合~遺言無効確認~
 (令03-01-18 最高裁 破棄差戻し Z999-5426)
 
  亡A(平成27年5月13日死亡)が作成した平成27年4月13日付け自筆
 証書(本件遺言書)による遺言(本件遺言)について、被上告人ら(Aの妻及び
 同人とAとの間の子ら)が、本件遺言書に本件遺言が成立した日と相違する日の
 日付が記載されているなどと主張して、上告人ら(Aの内縁の妻及び同人とAと
 の間の子ら)に対し、本件遺言が無効であることの確認等を求める事案です。
  原審は、「本件遺言は、本件遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日
 付が記載されているから無効である。」と判断して、被上告人らの本訴請求を認
 容しましたが、最高裁判所は、本件遺言を無効とした原審の上記判断は是認する
 ことができないとし、更に審理を尽くさせるため原審に差し戻しました。
 
  民法968条1項が、自筆証書遺言の方式として、遺言の全文、日付及び氏名
 の自書並びに押印を要するとした趣旨は、遺言者の真意を確保すること等にある
 ところ、必要以上に遺言の方式を厳格に解するときは、かえって遺言者の真意の
 実現を阻害するおそれがある。したがって、Aが、入院中の平成27年4月13
 日に本件遺言の全文、同日の日付及び氏名を自書し、退院して9日後の同年5月
 10日に押印したなどの本件の事実関係の下では、本件遺言書に真実遺言が成立
 した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちに本件遺言が無効
 となるものではないというべきである。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z999-5426

TAINSメールニュース No.517 2021.04.08 発行(社)日税連税法データベース

2021年04月08日

【1】今週のお知らせ
 会員各位
  平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
 
  当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保のために、
 2021年4月16日(金)までの間、営業時間を10時から16時までに変更
 及び交代での在宅勤務を実施しております。
 
  これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
 性がございます。
  問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
 時間を要する場合があることをご了承ください。
  なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
 
  会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
 何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
  消滅時効の起算日/相続時精算課税に係る贈与税相当額の還付金請求権
 (令02-03-10 東京地裁 棄却 控訴 Z888-2323)
  原告は、本件相続について相続税の申告義務がある者に該当しないが、相続時
 精算課税に係る贈与税相当額の還付を受けるため、相続税の申告書を提出したと
 ころ、税務署から、その還付金請求権は、相続開始日の翌日から起算して5年を
 経過しており、時効により消滅している旨の連絡を受けました。
  本件は、原告が本件還付金請求権の時効期間は、相続税の法定申告期限の翌日
 から起算すべきであると主張し、当該還付金の支払を求める事案です。裁判所は
 次のとおり判断し、原告の請求を棄却しました。

  相続時精算課税に係る贈与税相当額の還付金請求権は、国税通則法74条1項
 所定の「還付金等に係る国に対する請求権」に該当するところ、同項は、当該請
 求権は、「その請求をすることができる日から5年間行使しないことによって、
 時効により消滅する。」と規定している。そして、同項所定の「その請求をする
 ことができる」とは、法律上権利行使の障害がなく、権利の性質上、その権利行
 使が現実に期待のできるものであることを要すると解するのが相当である。
  相続税法上、同還付金請求権について申告期限の定めはないところ、相続の開
 始時に相続税の納税義務が発生する一方で、同還付金請求権がある場合には、そ
 の額の算定も可能となるから、同還付金請求権に係る同項所定の「その請求をす
 ることができる日」は、相続開始の日と解すべきである。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z888-2323

TAINSメールニュース No.516 2021.04.01 発行(社)日税連税法データベース

2021年04月01日

【1】今週のお知らせ
 会員各位
  平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
 
  2021年4月2日(金)までを予定しておりました当社団職員の新型コロナ
 ウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保の対策ですが、現状を鑑み、2021
 年4月16日(金)まで延長させていただくこととなりました。
  引き続き、営業時間を10時から16時までに変更及び交代での在宅勤務を実
 施いたします。
 
  これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
 性がございます。
  問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
 時間を要する場合があることをご了承ください。
  なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
 
  会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
 何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
  仕入税額控除/従業員から外注先に変更になった塗装作業員に支払った報酬
 (令03-02-26 東京地裁 棄却 Z888-2352)
 
  原告が従業員から外注先に変更になった作業員に支出した金員について、「給
 与等」に該当し、仕入税額控除の対象とならないのかが争われた事案です。
  東京地裁は、支払を受けた役務の提供の対価が出来高払いの給与であるか請負
 による報酬であるかの区分が明らかでないときは、消費税法基本通達1-1-1
 に掲げる((1)非代替性、(2)指揮監督性、(3)危険負担、(4)材料等
 の支給)を参考に総合勘案して判定するとしました。4項目のうちの指揮監督性
 に着目し、次のように判断して納税者の請求を棄却しています。
 
  本件各作業員は、作業日、作業内容や作業時間を自由に決めることはなく、原
 告から作業先を割り振られ、そこで、受注先の現場監督等の指示に従って作業を
 行っていた。これは、原告の従業員であった時期のそれと同様であった。
  本件各作業員は、本件支出金が支出されていた間も、従業員であった時期と同
 様に、原告から空間的、時間的な拘束を受け、原告の指揮命令に服し、原告に対
 して継続的ないし断続的に労務又は役務を提供していたものというべきであり、
 このことは、本件支出金の「給与等」該当性判断において最も重視されなければ
 ならない。本件支出金は、「給与等」に該当するから、消費税法2条1項12号
 にいう「課税仕入れ」に当たらず、仕入税額控除の対象とならない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z888-2352

TAINSメールニュース No.515 2021.03.25 発行(社)日税連税法データベース

2021年03月25日

【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。

当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保のために、
2021年4月2日(金)までの間、営業時間を10時から16時までに変更及
び交代での在宅勤務を実施しております。

これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
性がございます。
問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
時間を要する場合があることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。

会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
小規模宅地特例における生計一要件の該当性~成年後見人の事業用宅地~
(令02-12-02 横浜地裁 棄却 控訴 Z888-2343)

丙の相続人である甲(丙の甥・養子)は、甲が大工業の用に供している土地を
丙から相続し、甲が丙の成年後見人であったことなどから、小規模宅地等の特例
(本件特例)を適用し、相続税の申告をしましたが、藤沢税務署長から、丙と甲
は「生計を一にしていた」とは認められず、本件特例を適用することはできない
として、相続税の更正処分等を受けました。本件はその取消しを求めるものです。
裁判所では、次のとおり判断し、本件特例は適用できないとしました。

日常の生活費の管理状況、甲と丙は同居していないこと、甲は丙を扶養親族と
していないことなどから、甲と丙とは、居住費、食費、光熱費、その他日常の生
活に係る費用の全部又は主要な部分を共通にしていた関係にはなく、日常生活の
糧を共通にしていたとはいえず、「生計を一にしていた」とは認められない。
原告(甲、その訴訟承継人乙)は、甲が、丙の成年後見人となっていたという
特殊性を考慮すれば、日常の生活の糧を共通にしていたといえ、生計一要件を充
足するものと解すべきであると主張するが、原告が主張する甲の丙に対する生活
面での種々の貢献や丙の成年後見人としての財産管理は、甲の丙に対する成年後
見人としての報酬請求権や本件相続における甲の寄与を基礎付けるものではあっ
ても、宅地等の処分の制約や担税力の減少を基礎付けるものとはいえず、原告の
主張する事情は、生計一要件を基礎付けるものであるとはいえない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2343

TAINSメールニュース No.514 2021.03.18 発行(社)日税連税法データベース

2021年03月18日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINS研修サイトの更新について
  近畿税理士会よりご提供いただきました下記2テーマを新たに追加いたしまし
 た。ログイン後、右上部「研修サイト」をクリックすると画面が移動し、オンデ
 マンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
 視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
 とができます(近畿税理士会において既に視聴された方は、再度登録することは
 できません)。
         記
 1.TAINSを利用した判例研究研修会(2020年12月14日収録)
    講師:前川武政、東紘太朗
 2.TAINSを利用した判例研究研修会(2020年9月17日収録)
    講師:柏木英樹
  *一部の検索画面は旧バージョンとなっております。
   視聴後のアンケートにご協力ください。
                         (事業部長:上田 健一)
 
(2)会員各位
  平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
 
  緊急事態宣言を受け、当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減
 と安全確保のために、緊急事態宣言該当期間終了までの間、営業時間を10時か
 ら16時までに変更及び交代での在宅勤務を実施しております。
 
  これに伴い、お問い合せは、当ホームページ最下部右にございますお問合せフ
 ォームからの送信にてお願いいたします。また、回答まで時間を要する場合があ
 ることをご了承ください。
  なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
 
  会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
 何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  個人事業税/カイロプラクティック事業は地方税法の「請負業」に該当せず
 (令02-11-18 東京高裁 全部取消し Z999-8420)
 
  あん摩等に関する法律に基づく免許を有しない者によるカイロプラクティック
 事業(本件事業)に対する個人事業税については、第1種事業(請負業)又は第
 3種事業(医業に類する事業)として課税している県のほか、課税していない県
 があり、各都道府県で統一されていない状況です。
  本件は、原審が控訴人が営む本件事業は「請負業」に該当するとして控訴人の
 請求を棄却したことから、それを不服として控訴した事案です。
  東京高裁は、カイロプラクティック事業は地方税法72条の2第8項14号の
 「請負業」に該当しないと判断して、賦課決定処分の全部を取り消しました。
 
  民法632条にいう請負は、完成すべき仕事(労務の結果)の内容が明確であ
 る必要があると解される。しかし、本件事業は、腰痛や肩こり等の症状の緩和を
 目的として施術を行うものであるが、何をすれば仕事が完成したといえるかが明
 確にされているとはいえず、顧客との間の契約の目的が、労務の結果の完成と認
 められる程度に内容が明確であるとまでは認められないから、民法上の請負契約
 に該当しない。本件事業は、準委任契約による事業と認められるが、地方税法は
 個人の課税客体となる事業を限定的に列挙しており、民法上の請負契約による事
 業に限定する趣旨と解されるから、準委任による事業を請負業に含めて解釈する
 のは相当ではなく、本件事業が「請負業」に該当するということはできない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z999-8420

TAINSメールニュース No.513 2021.03.11 発行(社)日税連税法データベース

2021年03月11日

【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。

緊急事態宣言を受け、当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減
と安全確保のために、緊急事態宣言該当期間終了までの間、営業時間を10時か
ら16時までに変更及び交代での在宅勤務を実施しております。

これに伴い、お問い合せは、当ホームページ最下部右にございますお問合せフ
ォームからの送信にてお願いいたします。また、回答まで時間を要する場合があ
ることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。

会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
税理士損害賠償~コンサルティング業務等に係る報酬の詐取等の有無~
(令02-07-30 東京地裁 一部認容・一部棄却 Z999-0176)

被告Y1は、顧問税理士として、また被告会社の代表取締役として、原告会社
の事業承継等についてのコンサルティング業務等に携わっていました。本件は、
複数の業務に関し、報酬の重複請求ないし詐取の有無などを争点とした損害賠償
等請求事件で、原告会社は、約2億4700万円の損害金の支払を求めました。
東京地裁は、株価引き下げ業務については、報酬の詐取は認められないとしま
したが、被告らは合計約1億900万円の債務を負うと判示しました。

欠損金の還付支援業務の成功報酬は、独自の業務実態が認められず、還付請求
書の作成報酬との重複請求である。その額は不相応に高額であり、報酬目当てと
いう不正な動機もうかがわれ、不当性、不合理性が著しく、被告Y1が報酬を詐
取したと認められる。したがって、報酬相当額1200万1433円につき、被
告Y1は不法行為責任に基づき、被告会社は、役員等の第三者に対する責任及び
代表者の行為についての責任に基づき、原告会社に対し、損害賠償義務を負う。
株式交換による組織再編業務については、無意味な業務の実行により不相応に
高額の報酬を取得し、暴利行為があったと認められる。したがって、この業務に
かかる委嘱契約は、暴利行為により無効であり、報酬相当額1374万6600
円の損失につき、被告会社は、原告会社に対し、不当利得返還義務を負う。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z999-0176

TAINSメールニュース No.512 2021.03.04 発行(社)日税連税法データベース

2021年03月04日

【1】今週のお知らせ
(1)三木編集長対談動画の掲載について
TAINSホームページにて公開していた三木編集長の対談動画を、TAIN
S研修サイトに掲載することといたしました。
研修サイトは、TAINSログイン後の画面上部メニュー「研修サイト」のリ
ンクよりご覧いただけます。

(1)「査察と税理士」(対談相手:弁護士 山下清兵衛氏)
(2)「税理士と損害賠償」(対談相手:弁護士 内田久美子氏)
(3)「事業承継と税理士」(対談相手:税理士 牧口晴一氏)

※これらの動画は日税連の研修受講時間にはカウントされません。

また、TAINSをより良いコンテンツとするため、アンケートを実施してお
ります。アンケートは動画視聴終了時に表示されます。是非ご回答くださいます
ようお願いいたします。
(事業部長:上田 健一)

(2)会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。

緊急事態宣言を受け、当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減
と安全確保のために、緊急事態宣言該当期間終了までの間、営業時間を10時か
ら16時までに変更及び交代での在宅勤務を実施しております。

これに伴い、お問い合せは、当ホームページ最下部右にございますお問合せフ
ォームからの送信にてお願いいたします。また、回答まで時間を要する場合があ
ることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。

会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
土地建物の評価における「特別の事情」の有無~評価通達6を適用~
(令02-06-24 東京高裁 棄却 上告等 Z888-2346)

控訴人らが、相続で取得した各不動産について、評価通達の定めによって評価
することが著しく不適当とは認められず、本件相続開始時における相続税法22
条に規定する時価を本件各鑑定評価額とすることは違法であるなどとして、被控
訴人に対し、各更正処分等の取消しを求める事案です。
当裁判所は、原審(東京地裁・Z888-2271)と同様に次のように判断
し棄却しましたが、控訴人は、上告及び上告受理申立てをしています。

各通達評価額が、各鑑定評価額、各不動産売却額等と相当程度かい離して相続
税額にも相当額の差を生じており、これらについて、被相続人及び控訴人らが意
図してあえて実行したものと認められることからすると、各不動産については、
評価通達の定めによって適正な時価を適切に算定することが困難であると認める
のが相当である。各不動産については、評価通達の定める評価方法を形式的に全
ての納税者に係る全ての財産の価額の評価において用いるという形式的な平等を
貫くと、各不動産の購入及び各借入れに相当する行為を行わなかった他の納税者
との間で、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害し、法の趣旨及び評価通
達の趣旨に反することになる。本件は、評価通達に定められた方法によることが
不当な結果を招来すると認められるような特別の事情がある場合に当たり、評価
通達の定める方法以外の他の合理的な方法によって評価することが許される。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2346

TAINSメールニュース No.511 2021.02.25 発行(社)日税連税法データベース

2021年02月25日

【1】今週のお知らせ
 会員各位
  平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
 
  緊急事態宣言を受け、当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減
 と安全確保のために、緊急事態宣言該当期間終了までの間、営業時間を10時か
 ら16時までに変更及び交代での在宅勤務を実施しております。
 
  これに伴い、お問い合せは、当ホームページ最下部右にございますお問合せフ
 ォームからの送信にてお願いいたします。また、回答まで時間を要する場合があ
 ることをご了承ください。
  なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
 
  会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
 何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
  差押処分/納付義務の承継/法定単純承認事由となる相続財産の処分
 (令02-04-17 公表裁決 全部取消し J119-1-01)
 
  本件は、滞納法人の納税保証人(本件被相続人)の配偶者である請求人に対し、
 原処分庁が、請求人名義の金融機関の口座(本件口座)に振り込まれた本件金員
 は相続財産に該当するところ、請求人が本件金員を受領、出金及び返納した行為
 は、いずれも民法第921条《法定単純承認》第1号に規定する相続財産の「処
 分」に該当するから、請求人の相続放棄は認められず、請求人は本件被相続人の
 納付義務を承継するとして、請求人名義の不動産を差し押さえたのに対し、請求
 人がその取消しを求めた事案です。審判所は次のとおり判断し、本件各差押処分
 は違法であると判断しました。
 
  請求人が、本件口座から出金した本件金員相当額の50万円を費消していたと
 いう事実は認められない。そうすると、本件においては、本件相続に係る相続財
 産の経済的価値を減少させる請求人の行為があったとは言い難いことから、請求
 人が本件口座から本件金員相当額の現金を出金したことのみでは、相続財産の処
 分に該当する事実があったとはいえない。請求人は、相続放棄の申述が有効とな
 った平成○年○月〇日より後の同月27日に本件金員相当額の50万円をKに送
 金しているが、仮に当該送金が本件金員の返金であり、「相続財産の処分」に該
 当する行為であるとしても、相続放棄の申述が有効となった日より後の行為であ
 るから、この行為に民法第921条第1号を適用することはできない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 J119-1-01

TAINSメールニュース No.510 2021.02.18 発行(社)日税連税法データベース

2021年02月18日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
TAINSだより(2021年新年号)を掲載いたしました。検索トップペー
ジの右下「TAINSだより」をクリックすると、閲覧できます。
(事業部長:上田 健一)

(2)会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。

緊急事態宣言を受け、当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減
と安全確保のために、緊急事態宣言該当期間終了までの間、営業時間を10時か
ら16時までに変更及び交代での在宅勤務を実施しております。

これに伴い、お問い合せは、当ホームページ最下部右にございますお問合せフ
ォームからの送信にてお願いいたします。また、回答まで時間を要する場合があ
ることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。

会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
取得費加算の特例の適用を求める更正の請求/特定口座での上場株式等の譲渡
(令02-04-07 東京地裁 却下、棄却・控訴 Z888-2341)

原告らは、相続により取得した上場株式等を、源泉徴収を選択した特定口座に
預け入れ、平成27年中に、これら上場株式等を譲渡しました。原告らは上記譲
渡所得を含めずに確定申告を行いましたが、その後、措置法39条1項に規定す
る相続税額の取得費加算の特例を適用して更正の請求をした事案です。
東京地裁は、本件更正の請求は、国税通則法23条1項に定める更正の請求の
要件を満たしていないとして、請求を棄却しています。

措置法37条の11の5は、源泉徴収選択口座において生じた上場株式等の譲
渡所得について、申告不要の特例を設けたものであるところ、申告不要の特例を
選択するか、あるいは、これを選択せずに当該源泉徴収選択口座において生じた
上場株式等の譲渡所得を除外することなく申告するかは、確定申告時の納税者の
自由な選択に委ねられている。
仮に、納税者が申告不要の特例を選択したことによって、これを選択せずに当
該源泉徴収選択口座において生じた上場株式等の譲渡所得を除外することなく申
告をした場合と比べて納付すべき税額が過大となったり、又は、還付金の額に相
当する税額が過少となったりしたとしても、これをもって「国税に関する法律の
規定に従っていなかったこと」に当たるとはいえない。

≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2341

TAINSメールニュース No.509 2021.02.04 発行(社)日税連税法データベース

2021年02月04日

【1】今週のお知らせ
(1)次号メールニュースは2月18日に配信します。
  次週2月11日は休日のため、メールニュース510号は2月18日に配信し
 ます。
 
(2)会員各位
  平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
 
  緊急事態宣言を受け、当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減
 と安全確保のために、緊急事態宣言該当期間終了までの間、営業時間を10時か
 ら16時までに変更及び交代での在宅勤務を実施しております。
 
  これに伴い、お問い合せは、当ホームページ最下部右にございますお問合せフ
 ォームからの送信にてお願いいたします。また、回答まで時間を要する場合があ
 ることをご了承ください。
  なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
 
  会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
 何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  納税猶予期限の確定事由である「譲渡」該当性~農地の共有持分の交換~ 
 (令02-01-16 札幌高裁 棄却 上告等 Z888-2329)
 
  控訴人は、遺言に基づき、亡父から各農地を相続し、相続税の納税猶予を受け
 ていましたが、姉妹Qらから遺留分減殺請求訴訟を提起され、各農地の持分8分
 の3の所有権移転登記後、平成13年に控訴人とQらとの間で、共有持分を交換
 (本件交換)するという訴訟上の和解が成立しました。本件では、主に本件交換
 が、納税猶予期限の確定事由である「譲渡」に該当するか否かが争われました。
  札幌高裁では、原判決を維持し、次のとおり判断し、控訴人の請求を棄却しま
 した。その後、控訴人は上告しましたが、上告棄却・不受理で確定しました。
 
  所得税法33条1項が「資産の譲渡」による所得に課税をすることと措置法7
 0条の6第1項が「特例農地等」に係る相続税の納税を猶予することとはその制
 度趣旨を異にしており、「資産の譲渡」の解釈と措置法の「譲渡」の解釈を全く
 同一にしなければならないものではない。「特例農地等」の相続税の納税猶予制
 度の枠組みに加え、租税法規はみだりに規定の文言を離れて解釈すべきではない
 ことをも考慮すれば、「譲渡等」に当たるか否かは形式的に判断すべきである。
  本件交換は、農地9に係る控訴人の共有持分を控訴人からQらに移転する一方、
 農地1~農地8に係るQらの共有持分をQらから控訴人に移転するものである。
 一般に、資産を移転させる行為を譲渡というから、本件交換は「譲渡」に当たる。
 本件交換が共有物の現物分割の性質を有することは、結論を左右しない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2329