2024年12月12日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R05-11-09 東京高裁 棄却、確定 Z888-2702
製品を量産化できる能力を有する機械装置の取得時期/売買契約か請負契約か
URL:https://app6.tains.org/search/detail/63320
【相続税】
・R02-02-05 裁決 棄却 F0-3-745
土地の評価/「広大地」該当性/その地域・標準的地積・「マンション適地」
該当性
URL:https://app6.tains.org/search/detail/60183
【消費税】
・R05-08-22 東京地裁 却下、棄却、確定 Z888-2613
課税仕入れの用途区分/住宅用賃貸部分を含む中古建物/転売目的の取得
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62347
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:大高 由美子)
特定目的法人が取得した建物は棚卸資産で仕入税額控除は認められない!
(令05-09-08 東京地裁判決 棄却 Z888-2615)
本件は、平成27年4月請負契約により建設した物流施設(税込207億余円)
が固定資産であるとして還付申告をして、翌期に免税事業者となった原告が、当
該物流施設が棚卸資産であるとして、法第36条第5項の規定により更正処分を
受け、法人税でも減価償却費を否認された事案です。平成28年改正で導入され
た法第12条の4では、高額特定資産を取得した場合は仕入れを行った年度から
3年間、免税事業者になれないことになり、固定資産分の還付を受け、翌期売却
に係る消費税が免除されるというようなスキームは制限されました。
裁判所は、以下のとおり、原告が取得した物流施設は棚卸資産であるとして、
原告の請求を棄却しました。
棚卸資産とは、営業活動としての販売をすることを主たる目的として取得・保
有するものと解すべきである。
原告は、Aグループの一員である特定目的会社であり、物流施設を売却するこ
とによる収益を配当することを主たる目的としている。特定目的会社は、資産を
管理するための器にすぎず、生産活動等には従事し得ないから、物流施設を取得
しても、自ら物流業をする等の自己使用はそもそも想定されていない。また、原
告の主たる収益源が物流施設の信託受益権の譲渡であることは明らかであり、原
告の主たる事業は物流施設の取得後の売却による収益に依存しているということ
ができるから、その販売は、営業活動としての販売に当たるということができる。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62349