TAINSメールニュース No.693 2024.10.24 発行(一社)日税連税法データベース

2024年10月24日

【1】今週のお知らせ
収録した裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・R04-11-21 裁決 棄却 F0-1-1578
みなし譲渡/取引相場のない株式の時価
URL:https://app6.tains.org/search/detail/63074

【法人税】
・R05-05-23 裁決 棄却 F0-2-1202
繰延資産/ノウハウの使用許諾等の存否
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62388
・R05-02-21 裁決 棄却 F0-2-1224
繰越欠損金/確定申告書は有効か
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61810
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
サブリース前提の不動産賃貸借契約/「同族会社の行為計算否認」を取消し!
(令06-03-13 大阪地裁 一部取消し・国側控訴 Z888-2668)

原告は、同族会社A社にサブリースを前提として不動産を一括賃貸したところ、
処分行政庁から、A社への賃貸料が著しく低額で経済的合理性がないとして不動
産所得に関し所得税法157条1項を適用した更正処分等を受けました。
大阪地裁は、次のように判示して、更正処分の一部を取り消しました。

本件賃貸借契約は、転貸方式による契約であって空室リスク等を借主が負担す
るものであること、一般的には同一のサブリース業者に一括して転貸方式で賃貸
することが困難な、種別(マンション、店舗、病院等)や所在地域の異なる多数
の不動産を一括してA社に賃貸するものであること、契約期間中に高額な収益物
件の一部が売却されても、賃料は減額されないリスクを借主に負わせていること
といった特殊性を有しており、これらの事情は賃貸料の減額要因となり得るもの
である。以上によれば、本件賃貸借契約が、通常は想定されない手順や方法に基
づいたり、実態とはかい離した形式を作出したり、その賃貸料が著しく低額なも
のにされたりしているなど、不自然なものということはできない。
また、本件契約の締結に至る経緯には、不動産賃貸業の拡大に伴う資金管理等
の煩雑さや原告が高齢になってきたこと等から、原告個人で営んでいた不動産賃
貸業を、A社に移転するという目的があり、税負担の減少以外に当該賃貸借契約
を締結することの合理的な理由となる事業目的が存在すると認められる。以上の
とおり、諸事情を総合的に考慮すれば、本件賃貸借契約は、経済的合理性を欠く
ものとはいえないから、所得税法157条1項には当たらないというべきである。
URL: https://app6.tains.org/search/detail/63087