2024年10月03日
【1】今週のお知らせ
収録した判決の一部を紹介します。
【所得税】
・R06-03-13 大阪地裁 一部取消し、被告控訴 Z888-2668
行為計算否認/同族会社との不動産賃貸借契約における経済的合理性/転貸方
式
URL:https://app6.tains.org/search/detail/63087
【法人税】
・R05-12-07 東京地裁 認容、控訴、納税者勝訴
Z888-2653
移転価格税制/取引単位営業利益法に準ずる方法/市場の状況に関する差異
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62834
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
適格合併で繰越欠損金を引き継いだ組織再編成を租税回避行為と認定!
(令04-08-19 非公開裁決 棄却 F0-2-1201)
請求人の完全子会社A社は会社分割を行い、A社が行っていた青果物卸売事業
の資産、負債、雇用契約その他の権利義務が、分割承継法人であるB社に承継さ
れました。その後、A社を吸収合併した請求人は、A社が有していた未処理欠損
金額を引き継いだところ、課税庁から、本件組織再編成は未処理欠損金額の活用
による節税効果の享受を目的とし、法人税法132条の2の「法人税の負担を不
当に減少させる結果となる」に該当するとして更正処分等を受けた事案です。
審判所は、適格合併が行われた場合の未処理欠損金額の引継ぎを認めた法人税
法57条2項について、例えば、グループ内の他の法人への付替えと同視できる
場合にまで、未処理欠損金額の引継ぎを認めることを想定した規定ではないとし、
本件は通常は想定されない不自然な組織再編成と判断しています。
本件会社分割によって、A社が有していたほぼ全ての資産、負債、雇用契約等
がB社に移転しており、会社分割の前後で、事業内容にも変化は生じていない。
したがって、本件組織再編成は、組織再編成の前後で実態に変化を生じない組織
再編成であった。本件組織再編成は、A社の繰越欠損金を請求人に付け替えるこ
とによる税負担の減少を意図したものであって、このような意図に基づくのでな
ければ通常は想定されない不自然なものであるから、法人税法57条2項の本来
の趣旨及び目的を逸脱する態様でその適用を受けるものであり、法人税法132
条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となる」に該当する。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62179