TAINSメールニュース No.689 2024.09.26 発行(一社)日税連税法データベース

2024年09月26日

【1】今週のお知らせ
収録した裁決の一部を紹介します。
【消費税】
・R05-04-07 裁決 棄却 F0-5-399
仕入税額控除/居住用賃貸建物の取得/経過措置適用の有無
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62364

【相続税】
・R05-06-23 裁決 棄却 F0-3-886
更正の請求/通則法23条1項1号に規定する請求事由の該当性
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62325

【所得税】
・R05-04-14 裁決 棄却 F0-1-1605
先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除/適用要件
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62322
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
取引相場のない株式に評価通達6の適用なしと判断・納税者勝訴で確定!
(令06-08-28 東京高裁 控訴棄却・確定 Z888-2667)

被控訴人らが、相続により取得した株式(本件相続株式)の価額について、通
達評価額(類似業種比準価額)により相続税の申告をしたところ、処分行政庁は、
評価通達6を適用して算定報告額により更正処分等をしました。原審(Z888
-2556)は、被控訴人らの請求を認容し、通達評価額によるべきとしたこと
から、国が控訴しました。控訴審でも、通達評価額と交換価値との間の著しいか
い離が評価通達6を適用すべき特段の事情になるか否かが争われました。
東京高裁では、次のとおり判断し、国の控訴を棄却しました。

取引相場のない株式の交換価値は、本来、専門的評価を経ない限り判明し得な
いものであって、外形的事実によって取引相場のない株式の交換価値を合理的に
推測することが可能であるとは必ずしもいえない。とりわけ、M&Aが行われる
場合においては、高度な経営判断や双方の交渉の結果等により株式の売買代金が
決定されるのであって、売買代金が交換価値を反映しているとは限らない。
本件相続株式について、譲渡予定価格(10万5068円)と算定報告額(8
万0373円)が比較的近く、これらが通達評価額(8186円)と大きくかい
離しているからといって、更正処分の時点にさかのぼって、譲渡予定価格が交換
価値を反映したものであるとして、評価通達の定める方法による画一的な評価を
行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情(特段の事情)が存
在していたということにはならない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/63092