2024年08月15日
【1】今週のお知らせ
(1)税理士会から提供いただいた「相談事例」を収録しました。
「TAINSキーワード」に次のように入力すると検索できます。
千葉県税理士会 ☆2024年08月収録分 ‥‥22件
南九州税理士会 ☆2024年08月収録分 ‥‥10件
(2)収録した判決の一部を紹介します。
【法人税】
・R05-05-12 東京地裁 一部認容、確定 Z888-2553
飲食代金の交際費等該当性/中小法人損金算入特例における業務関連性の程度
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62265
・R05-07-20 東京地裁 認容、確定、納税者勝訴
Z888-2594
非適格分社型分割における承継資産負債の時価/DCF法による価値算定の合
理性
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62049
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
相続税の申告期限までに解散・清算した同族会社に対する貸付金の評価は?
(令05-08-31 東京地裁 棄却・確定 Z888-2607)
不動賃貸業を営むA社は、甲の相続開始(平成29年12月)後、平成30年
7月に解散、同年10月に清算手続が結了しました。その過程で、所有不動産を
売却し、甲からの借入金のうち1405万円を甲の一切の財産を相続した原告に
返済をしました。原告は、甲のA社に対する貸付金(本件債権)について、評価
通達205により1405万円と評価して相続税の申告をしましたが、処分行政
庁は、評価通達204により6036万円と評価して更正処分等を行いました。
東京地裁では、次のとおり判断し、本件債権について、評価通達205の「そ
の回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」に当たるとはいえない
として、相続開始時の元本価額6036万円と評価すべきであるとしました。
A社は、各事業年度において、ほぼ債務超過の状況ではあったが、その債務が
無利息かつ返済期限のないものであった上、相続開始時点の債権者は原告(A社
の代表取締役)であり、直ちに返済を要するものではないことは明らかである。
一般的に不動産賃貸業は、その継続について格別の知識や能力を要するものと
いうことはできず、甲の死亡によって事業の継続が困難になったということはで
きない。そして、相続開始日後もA社を存続させ、将来にわたって生じ得る経常
利益を本件債権の返済に充てることは可能であったものと解すべきであって、A
社の解散及び清算は、損害のこれ以上の拡大を防ぐためにやむなく行われたとい
うよりは、飽くまでもA社における経営上の判断の結果によるものと認められる。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62346