2024年08月08日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・R05-08-01 東京地裁 棄却 Z888-2584
決定処分等及び裁決の手続の適法性
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62295
【消費税】
・R06-06-11 裁決 棄却 F0-5-407
課税範囲/バスの運行負担金
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62901
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:大高 由美子)
障害福祉サービスの生産活動売上は課税でも工賃は課税仕入れではない!
(令06-07-18 名古屋地裁 棄却 Z888-2624)
社会福祉法人である原告が、消費税等に係る確定申告について、原告が提供す
る各福祉サービスを利用して生産活動に従事する利用者に対し支払った工賃を課
税仕入れに係る支払対価の額に計上すべきであるとして、更正の請求をしたとこ
ろ、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受け、その取消しを求める事案です。
裁判所は、以下のとおり、原告の請求を棄却しました。
各事業所の利用者は、原告との間で、請負等の契約により生産活動に従事し、
原告に役務を提供した反対給付として工賃を受領しているのではなく、原告によ
る福祉サービスの一環として、生産活動に係る事業の収入から必要な経費を控除
した残額(剰余金)の分配として工賃を受領していると認めるのが相当である。
工賃は生産活動による成果物の販売代金に転嫁可能な程度に生産活動への従事
と結びついているとはいえないから、消費税法30条1項に規定する課税仕入れ
に係る支払対価に該当すると認めることはできない。
障害福祉事業における利用者の生産活動としての作業に基づいて行われる資産
の譲渡等については、非課税とされる社会福祉事業の範囲から除かれているのは、
購入者にとって仕入税額控除の対象とならず、事業者が取引から排除される状況
を考慮した社会政策的配慮からであり、工賃も収入に対応する原価として課税取
引として取り扱うのが筋である旨の原告の主張は採用できない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62952