2022年11月17日
【1】今週のお知らせ
判決速報を収録しました。
判決速報1590から1594、1596から1598、また1604、
1609、1611までの計11件を収録しました。一部を下記に紹介します。
・判決速報1590
自主納付した源泉所得税等が過誤納金に当たるとするX(控訴人会社)の主
張が、Xは、社員に支払った給与等に係る源泉所得税等の納付義務を負ってい
たものであり、過誤納金に該当しないとして排斥された事例
・判決速報1594
相続税の調査により把握された相続人らの所得税の過少申告に係る修正申告
書の提出は、調査があったことにより更正を予知してされたものであるとされ
た事例
・判決速報1604
相続によって取得した貸家建付地に借地権を設定したことが資産の譲渡とみ
なされる場合に、譲渡所得の金額の計算上取得費に加算する相続税額は、貸家
建付地の評価額のうち借地権部分に対応する金額である。
≪検索方法≫ 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】
判決速報 ☆2022年11月収録分 →11件
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
不動産所得の必要経費/裁判外の和解契約による借地人所有建物の取壊費用
(令01-09-03 非公開裁決 棄却 F0-1-1215
本件は、不動産賃貸業を営む請求人が、賃貸していた土地上に存する借地人ら
所有の建物の取壊費用を支出し、必要経費に算入して申告したところ、原処分庁
が、当該取壊費用は不動産所得に係る必要経費に算入できないとして、更正処分
等をしたため、請求人がその取り消しを求めたという事案です。審判所は、次の
ように判断し、請求人の請求を棄却しました。
本件において、本件取壊費用は、本来、収去義務を負っていた借地人らが負担
すべきものであったといえる。それにもかかわらず、請求人は、借地人らが経済
的に困窮しているため、本件建物の収去義務を確実かつ迅速に履行する保証がな
い旨判断し、裁判外の和解契約を締結した上で、自己の負担で本件建物を取り壊
したとする。しかしながら、請求人は借地人らの資産状況及び支払資力などを裏
付ける客観的な資料をいずれも確認しておらず、また、借地人らのうち少なくと
も1名にはその当時一定の所得があったことが認められる。以上のように、本件
取壊費用は、請求人が取壊費用を負担せざるを得ない事情があったとも認められ
ないから、社会通念に照らして客観的に判断すると、不動産所得を生ずべき業務
と直接関係し、かつ、当該業務の遂行上必要なものとはいえず、これを請求人の
不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-1-1215