2021年12月02日
【1】今週のトピックス
(1)税理士の法人税申告関与割合は89.4%
財務省・国税庁は、10月29日、「令和2事務年度 国税庁実績評価書」を
公表しました。
この実績評価書においては、令和元年4月決算から翌年3月決算法人について、
翌年7月末までに申告書の提出があったもののうち89.4%が税理士関与、相
続税では修正申告を除く前年の申告書の86.1%が税理士関与である、とのデ
ータが示され、税理士制度がわが国の経済にとってなくてはならないものである
ことがうかがえます。
同実績評価書では、このほか、税理士制度に関しては、書面添付制度や税理士
の懲戒に関する実績等が公表されています。
https://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/nta/fy2020/evaluation/2021nta.hyouka.kouhyou.html
(2)閲覧数ランキングTOP5(2021年6月~11月)
半年間でユーザーの皆様の閲覧数が多かった判決等を紹介いたします。
第1位 TAINSコード:Z269-13304
令01-08-27 東京地裁 相続税更正処分等取消請求事件
第2位 TAINSコード:Z888-2364
令03-05-20 東京高裁 所得税更正処分取消等請求控訴事件
第3位 TAINSコード:Z267-13045
平29-08-30 東京地裁 所得税更正処分取消等請求事件
第4位 TAINSコード:Z266-12849
平28-04-22 東京地裁 法人税更正処分取消請求事件
第5位 TAINSコード:Z888-2296
令02-03-24 最高裁 所得税更正処分取消等請求上告受理事件
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
取締役会決議の有効性/深夜の電子メールによる招集通知と特段の事情
(平29-04-13 東京地裁 棄却 控訴 Z999-6156)
本件は、原告(Aグループの創業者・93歳)が、被告A社の取締役会におけ
る原告を代表取締役から解職する旨の決議(本件決議)は、原告に対する適法な
招集通知が行われなかった瑕疵により無効であると主張して、A社に対し、本件
決議が無効であることの確認を求めた事案です。東京地裁は、次のように判示し
て原告の請求を棄却しました。(東京高裁・棄却・確定)
原告が自らパソコンを操作することがないこと等を考慮すると、招集通知メー
ルがメールサーバに記録されたことをもって、原告の了知可能な状態に置かれた
(支配圏内に置かれた)ということはできない。加えて、取締役会前日の深夜の
メール送信であって、実質的に見ても招集通知がされたと評価することは困難で
ある。しかし、本件取締役会には、原告を除く取締役ら全員が出席しており、そ
のうち棄権した原告の次男を除く全員の賛成をもって本件決議が成立している。
原告を除く取締役らは、取締役会の前夜、顧問弁護士も交えて協議をし、原告の
長男が判断能力の低下した原告を利用してA社に混乱をもたらすことなどを防止
するために、原告を代表取締役から解職するとの意見を形成するに至っている。
以上によれば、原告がA社の取締役会において相当に強い影響力を有していた
ことなどを考慮しても、原告が本件取締役会に出席してもなお本件決議の結果に
影響がないと認めるべき特段の事情があるというべきである。したがって、招集
手続の瑕疵は決議の効力に影響がないものとして、本件決議は有効になる。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z999-6156