TAINSメールニュース No.405 2019.3.28 発行(社)日税連税法データベース

2019年03月28日

【1】今週のお知らせ
(1)収録した裁決・判決の一部を紹介します。
 
 【所得税】
 ・H30-03-14 名古屋地裁 棄却 Z888-2203
  先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除/連年提出要件
 ・H30-02-20 裁決 棄却 F0-1-900
  所得区分と損益通算/給与所得者が営むネイルサロンの損失
 
 【相続税】
 ・H30-09-23 東京地裁 棄却 Z888-2213
  土地の評価/広大地通達の合理性・「特別の事情」の有無・鑑定評価の合理性
 
 【消費税】
 ・H27-10-19 裁決 却下 F0-5-226
  延滞税の取消しを求める旨の審査請求/国税に関する法律に基づく処分
 
(2)公表裁決事例を収録中です。
  国税不服審判所のホームページに平成30年7月から9月分の裁決事例9件が
 公表されました。現在、編集・収録作業を行っております。
  http://www.kfs.go.jp/service/JP/idx/112.html
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  元従業員が下請業者から受領したリベートの帰属と隠蔽行為の有無
 (平30-04-24 非公開裁決 棄却 F0-2-828)
 
  土木建築請負業等を営む請求人の法人税について、原処分庁が、当時営業部長
 等の地位にあった元従業員乙が下請業者から受領した金員は請求人に帰属し、ま
 たその金員を収益に計上しなかったことは、事実の隠蔽に該当するとして、各更
 正処分及び重加算税の各賦課決定処分をしたのに対し、請求人が、その金員は乙
 個人のもので、請求人に帰属しないとして、全部取消しを求めた事案です。
  争点は、本件各金員が請求人に帰属し、損害賠償請求権が本件各事業年度の益
 金の額に算入されるか否か、請求人に事実の隠蔽行為があったか否かです。
  審判所は次のように判断し、請求人の主張を棄却しています。
 
  本件各金員は、請求人が各外注先に工事を発注し、各外注先が請求人から工事
 を受注したことに基因しての謝礼で、また、今後も請求人から工事を受注できる
 ことを期待して、その地位及び権限を有する乙に対して支払われたものであり、
 本件各金員は請求人に帰属するものとみるべきである。
  横領行為による損害賠償請求権についても、本件各事業年度において、乙によ
 り各金員が横領され、請求人に損失を発生させ、それと同時に乙に対する不法行
 為による損害賠償請求権が発生したといえる。
  乙が5年間という長期間にわたり本件各外注先から本件各金員を受領し続けて
 いた行為は、請求人の行為と同視でき、本件各金員を収益に計上しなかったこと
 について、請求人に事実の隠蔽があったと認められる。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-2-828